就活ルールの廃止、企業の賛否は拮抗 帝国データバンク調査

2018年12月11日 15:10

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 帝国データバンクは10日、就活ルールに関する企業の意識調査結果を発表した。就活ルールは9月に経団連会長がその見直しについて言及して以降、特に議論の種になっている。そこで企業がどのような見解をもっているのかを調査したところ、ルール廃止に対して賛否は拮抗、また分からないとする回答が最多となった。

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 有効回答を得た企業9,746社のうち、賛成が23.5%、反対が24.5%、分からないと答えた企業が52.0%と、どちらとも決めかねている企業が過半数を超えた。

 回答理由をみると、分からないと回答した企業からは、就活ルールに必要性は感じないがなくなれば予算が潤沢な大企業が有利になる、就活ルールが変わってもそんなに影響はないなどの声が聞かれた。

 賛成企業からは形骸化し実態に即していない現行ルールの廃止は妥当とする声や、従来の日本型雇用からの脱却を望む声が挙がっている。

 学校を卒業する若者に対し、多くの企業が同じ期間中に採用活動をおこない雇用を内定させる仕組みは他国にはない日本独自の雇用慣行だ。

 しかし学生の就職先や企業の実質的な採用時期の多様化など、状況が変化するなかで必要な人材を確保しようとするとき、就活ルールは障害となる場合もある。就活ルール廃止に賛意を示した企業の背景には、そのような現実があると考えられる。

 一方で反対と答えた企業からは、中小企業の人材確保が難しくなる、人件費など採用活動のコストが拡大する、学生の就職活動期間が長くなるといった意見が出ている。

 なお回答を得た企業を5人以下から1,000人超まで従業員規模別に分けると、賛成はどの規模でも25%に達していない。それに対し、反対は51人から100人、101人から300人、301人から1,000人の企業で30%前後の割合を占めており、中堅規模の企業において採用活動への影響を不安視する声が比較的多くなっていることがわかった。

 政府は10月、就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議にて、当面は現行の就活ルールを維持する方針を固めた。ただ経団連は就活ルールの見直しを本格化させており、先行きはまだ不透明だ。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る

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