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ローム、PCと電源1つで完結できるモータドライバ評価ツール開発 業界初
ロームは12月4日、業界初となるPC と電源1 つで完結できるモータドライバ評価ツール「RAGU® シリーズ」を発表。モータアプリケーション開発の劇的な効率化に期待。[写真拡大]
10年後の未来は、どんな世の中になっているのだろう。11月25日、2025年の国際博覧会(万博)開催地が大阪市に決定した。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。万博は、世界各国からあらゆる最新技術が集まる博覧会。前回の大阪万博では、携帯電話の原型であるワイヤレスホンや、リニアモーターカー技術が登場した。また、その頃はまだあまり知られていなかった缶コーヒーを一気に普及させたのも、万博効果だといわれている。そんな中、「未来の乗り物」として紹介され、来場者用のタクシーなどに使われて話題を呼んだのが電気自動車だ。
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55年後の現在。電気自動車はもはや未来の乗り物ではなくなった。未だ市場の主流はガソリン車が占めているものの、電気自動車のシェアは着実に拡大しており、その技術も日進月歩で発展している。
現在、電気自動車の普及の妨げとなっているのは、ガソリン車に比べてコスト的に不利なこと、充電の煩わしさなどが考えられるが、これについても少しずつ解消しつつある。例えば、2018年上半期登録車販売台数1位の大ヒット商品となっている日産自動車のノート(NOTE)。この車の人気の秘密が次世代パワートレイン「e-POWER」だ。搭載車ではエンジンとタイヤはつながっておらず、車を動かしているのはモータ。つまり、エンジンは車を動かすのではなく、モータを動かすための発電機という仕組みになっているのだ。このため、走行用の電気はクルマ自身が作り出してくれるので、充電の必要は一切ない。
電気自動車が今後益々普及すると期待される中で、注目を集めているのがモータ市場だ。ガソリン車と比べて、電動車はモータの搭載数が増加する。中でも駆動用モータは電動車の普及につれて需要拡大が見込まれている。矢野経済研究所の調査によると、2016年の車載用モータ世界市場は車両生産台数ベースで29億9900万個。2020年には1.2倍の36億7800万個、そして大阪万博が開催される2025年には1.5倍となる44億7100万個に達すると予測している。また、モータ需要が増加しているのは自動車分野だけではない。産業機器や民生家電など、あらゆるアプリケーションにモータが搭載されている。現在の機械文明を支えている偉大な技術の一つはモータなのだ。
モータの需要増加とともに、それを取り巻く技術も大きく進化している。例えば、12月4日にロームが発表した、モータドライバLSI 評価ツール「RAGU® シリーズ」もその一つだ。同製品は、モータとモータを駆動させるモータドライバLSI の動作評価を簡単にする評価ツールだ。
モータの生産台数が増加する一方で、アプリケーションの多様化・高機能化にともないモータの動作評価は複雑になっており、開発期間の短縮が課題となっているという。従来、モータドライバLSI の動作評価にはオシロスコープ、ファンクションジェネレータなど多くの専門的な計測機器が必要だったが、RAGU®を使えばPC と1 つの電源だけで、評価の難しいシーケンス評価や温度評価まで、すばやく簡単に実施可能になるという。PC と電源1 つで完結できるモータドライバは業界初のもので、モータドライバLSI を採用するモータアプリケーション開発の劇的な効率化に貢献する商品として、関連企業を中心に注目を集めそうだ。
「RAGU® シリーズ」は、複写機、プリンタ産業器などの用紙搬送部、監視カメラやWebカメラの駆動部など、一定間隔でデジタルに駆動するモータアプリケーションに最適な製品とのことだが、同様の技術は今後、自動車やロボット分野などでも重要になってくるのではないだろうか。開発が容易になれば、それだけコストも削減できる。それは当然、最終製品にも大きく影響する。コストが安くなれば普及の速度も上がるだろう。万博などで展示される華やかな未来の技術、ひいては10年後の未来社会を形づくるのは、こういう技術の積み重ねなのだ。(編集担当:藤原伊織)
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