約100人の遺灰を乗せた人工衛星が宇宙へ 「流れ星供養」の費用は30万円

2018年12月7日 12:14

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●スペースXにより遺灰が宇宙へ

 宇宙輸送を行っている「スペースX」により、これまでも様々なものが宇宙へと運ばれた。最近では、デビッド・ボウイの曲が流れる機器を火星に送り込んだことでもニュースになった。近い将来、NASAの宇宙飛行士たちを宇宙ステーションに運ぶ役割を果たすともいわれている。

 そして12月3日午前10時34分(現地時間)、初めての「宇宙葬」として、スペースXにより約100人の遺灰が宇宙に運ばれた。遺灰が乗せられた人工衛星が地球の軌道を周回する間、遺族たちはスマホのアプリで位置の確認も可能だという。

●サンフランシスコの企業によるプロジェクト、費用は30万円

 カリフォルニアヴァンデンバーグ空軍基地から遺灰を乗せて打ち上げられたのは、ファルコン9ロケットである。サンフランシスコの企業「エリジウム・スペース(Elysium Space)」によって企画されたこのプロジェクトは、「流れ星供養」として募集され、費用は1人2,490ドルだった。なお、同社は日本での事業も展開しており、日本円での募集は1人30万円となっている。

 遺灰は、キューブサットと呼ばれる小型人工衛星に入れられて他の64個の衛星とシェアライドのかたちで打ち上げられた。この人工衛星には、「エリジウム・スター2」という名前が付けられている。エリジウム・スペースは過去に同様の試みを行ったが、「エリジウム・スター1」と名付けられた人工衛星は、2015年に打ち上げには成功したものの、計画した軌道には到達できなかった。

 このプロジェクトの発案者で写真家のトレヴァー・パグレン氏は、12月4日付けのツイッターでその成功を喜ぶコメントを寄せている。現在、「流れ星供養」は募集を終了しているが、打ち上げ業者が決まり次第、「エリジウム・スター3」の募集を行う予定という。

●いずれは月面へ遺灰を

 エウジリス・スペースはさらに、宇宙ベンチャー企業「アストロボティック・テクノロジー」と提携し、将来的に月面に遺灰を送る計画を進行中であるという。「月面供養」と名付けられたこの宇宙葬の費用は、今回の「流れ星供養」の約4倍となる9,950ドル。日本円での募集は120万円だ。

 こちらのプロジェクトのコンセプトは、「愛する人が宇宙から私たちを見守るだけではなく、我々も月を見上げて亡き人とともにいることを実感する」ことであるという。

 この月面供養のプロジェクト「ルーナー1(LUNAR 1)」は、アポロ11号の打ち上げ50周年に合わせて月に向かうユナイテッド・ローンチ・アライアンスのロケットに乗せて、2019年に打ち上げられる予定という。こちらは、現在も募集を継続している。

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