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JAXA、日本初の技術が詰め込まれた回収カプセルを公開
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、茨城県の筑波宇宙センターにて、国際宇宙ステーション(ISS)からの資料回収に成功した日本初の回収カプセルを報道陣に公開した。
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今回公開された小型回収カプセルは、JAXAの宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機によりISSへと運ばれ、その「こうのとり」7号機と一緒に11月11日に地球へ帰還した。大気圏突入前に切り離されたカプセルは、南鳥島近海で回収された後、13日に筑波宇宙センターへ運ばれていた。
JAXAによると大気圏突入時、表面温度はおよそ2000度にもなるものの、内部温度は4度に保たれていたことから、回収技術が実証されたことになった。
今回小型の回収カプセルが注目を集めている理由は、2つある。
1つ目は、ISSで結晶化した医療研究用のタンパク質が、地球へ還ってきてからも結晶化がそのまま保たれるかどうかだ。回収後、タンパク質を顕微鏡などで確認したところ、結晶は維持され、今後の研究でも利用できる状態だという。
2つ目は、ISSから地球へ物資を運ぶ技術の確立だ。現在、回収カプセルの技術は、アメリカとロシアしか持たず、さらには将来の有人探査にも応用が可能であることから、今回カプセルが無事に地球へ帰還したことは大きな成果と言える。今回は、「こうのとり」の帰還に合わせて回収カプセルが地球に送られたが、JAXAでは今後、回収カプセル単独でも地球に帰還できる技術の確立を目指すという。
回収カプセルの実証は今後、有人探査に大きく影響を与えるのではといわれている。
2011年にアメリカのスペースシャトルが運用を終了して以降、ISSを行き来可能な有人宇宙船はロシアのソユーズだけだが、JAXAの回収カプセルには、ソユーズにも使用されている複数の技術も使用されている。
今回の成功は、今後への期待を膨らませるものとなりそうだ。(記事:中川リナ・記事一覧を見る)
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