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九大、脳の神経回路の繋がりを解明する細胞別カラフル染色法を開発
マウス嗅球僧帽細胞・房飾細胞のTetbow法染色例(画像: 九州大学の発表資料より)[写真拡大]
九州大学は、脳内の複雑に絡まった神経回路を、個々の神経細胞ごとに異なる蛍光色に染色して、回路の繋がりを解明できるようにする手法:Tetbow法の開発に成功した。
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脳は、多くの神経細胞が複雑につながった回路を形成して、機能を発現させている。そのため、脳機能の研究では、各神経回路の配線状態を個別に解明して全体をマッピングすることが重要となる。これまで、個々の脳細胞を3種の蛍光タンパク質で細胞ごとに染色して神経回路を区別する手法は開発されていた。ハーバード大学のBrainbow法で、赤色、緑色、青色の3色の蛍光タンパク質を組み合わせて中間色を作り、神経細胞を異なる色で標識化するもので、細胞の接続を解明することは可能であったものの、輝度が不十分で、脳回路の全体像を理解するには不十分だった。
そこで、九大では、従来法の遺伝子プロモーターよりも多くの蛍光タンパク質を産生するテトラサイクリン応答配列プロモーターを用いることで輝度の向上を実現しつつ、個々の脳細胞を異なる蛍光タンパク質で標識化できる改良版Tetbow法を開発した。
実験では、マウスの脳回路を細胞ごとに異なる蛍光色でカラフルに染色した。併せて、九大の同じ研究チームが開発した脳標本を透明にする手法:SeeDB2を組み合わせることで、脳細胞が複雑に絡まって脳回路を構成している状態を可視化することに成功した。実験では、マウスの嗅球の僧帽細胞の樹状突起が複雑に配線されている様子や、数ミリメートル以上の軸索を細胞ごとに染色して配線のつながりを可視化すことができた。
本手法の開発により、神経回路の配線様式の理解が進み、神経回路の作用機序や発達、精神疾患の神経回路基盤解明といった脳機能の研究が加速することが期待される。この研究成果は、今月20日に英国のオンライン科学雑誌「eLife」に掲載された。
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