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地球外の文明から送られた偵察機?謎の天体「オウムアムア」
オウムアムアの想像図 (c) ESO/M. Kornmesser, ヨーロッパ南天天文台[写真拡大]
「オウムアムア(Oumuamua)」と呼ばれる謎の飛行物体が、世間を騒がせている。米ハーバード大の研究者らが、オウムアレアが通常の天体にはみられない動きを示すのは、太陽光を利用して航行するソーラーセイルを搭載する可能性があると発表したからだ。
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■発見の経緯
太陽系外から飛来してきた天体である「1I/2017 U1」は2017年10月19日に、ハワイのハレアカラ天文台で最初に発見された。ハワイの言葉で斥候を意味する「オウムアムア」という名称が、全長800メートルで幅80メートルの細長い天体に与えられた。
発見されて間もないオウムアムアだが、太陽系内に侵入して1世紀以上に及ぶ。オウムアムアは1837年頃に、地球と太陽間の約1,000倍(1,000AU)もの距離の場所に到達、太陽系内に侵入したと考えられる。
ところが地球からあまりにも遠いため、太陽からの光を反射せず、最新鋭の望遠鏡でも発見できなかった。非常に高速で飛来するので、捉えられる領域は非常に小さい。
太陽周辺を疾走するも、1月2日にハッブル宇宙望遠鏡で確認されたのを最後に、オウムアムアを見失った。5月3日に再び木星の軌道の外側で発見されたものの、再び見失ったという。2196年までに再び太陽から1,000AUの距離に到達、太陽系を脱出するとみられる。
■異常な加速度運動をするオウムアムア
オウムアムアが通常の天体と変わっているのは、重力に依存しない加速運動を示すからだ。このことは重力以外の「何か」によって進路が決まっていることを意味する。ハワイ大学天文学研究所のKaren Meech氏らの研究グループは、オウムアムアがその進路を決めてしまうほどのガスを放出するからだと結論づけた。オウムアムアが太陽に接近する際、太陽の熱により表面上の氷から昇華、ガスや塵が外側に放出されるというのだ。Meech氏は、「異常だとは思わない」と語る。
■地球外の文明からのメッセージ?
ハーバード大の研究グループは、オウムアムアの異常な軌道を、放射圧を利用する「ソーラーセイル」が原因の可能性があると論文で発表した。ソーラーセイルが自然発生したか、地球外の文明から送られた「宇宙船」のような物体だと結論づけた。ハワイ大学の研究グループの説のように、オウムアムアから熱を発生した形跡がみられないのだ。
ハーバード大学の研究グループによる突飛な説に対しては、異論もある。マックス・プランク天文学研究所の Coryn Bailer-Jones氏は、「太陽系内の小惑星や彗星にとって異常というわけではない」。Bailer-Jones氏もまた、ガスの放出が原因だと考える。
オウムアムアが地球外の文明から送られた宇宙船だと仮定しても、太陽系までソーラーセイルを維持するのは不可能だ。「理論的にはソーラーセイルで説明可能だが、地球外の文明から送られたといった説明はあまり役立たないだろう」とBailer-Jones氏は加えた。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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