JR東日本と東急、国内初となる「観光型MaaS」の実証実験 2019年春に

2018年9月28日 11:46

印刷

 JR東日本と東急電鉄は、地方の観光拠点において、観光客が駅や空港から2次交通をスマートフォンなどで検索・予約・決済し、目的地までスムーズに移動できる「2次交通統合型サービス(以下、「観光型MaaS」)」の実証実験を行うと発表した。2次交通とは、バスやタクシー、カーシェア等の交通手段を指す。このような観光型の「MaaS」の実証実験は日本国内では初となり、世界的にも希少な事例になるという。

【こちらも】トヨタが考える次世代物流・移動システム(上)次世代EV「e-Palette Concept」 壮大な実験

 少子高齢化は加速度的に進行し、地方ではすでにその弊害が現れていると言っても過言ではない。地方に行けば行くほど、交通の担い手が不足するだけでなく、地域そのものが高齢化し限界集落のように衰退し続けているのが現状だ。

 そこで注目されているのが、「MaaS」だ。「MaaS」とは、「Mobility as a Service」の略で、手元のスマートフォンなどから検索、予約、支払を一度に行えるようにしてユーザーの利便性を高めたり、移動の効率化によって都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者対策などの問題解決に役立てようとするサービスだ。総務省が提唱するこの考えは、すでに都心部ではカーシェアリングなどの発想につながっている。

 今回2社は、2019年春から伊豆エリアを対象に、観光型MaaSの実証実験を行う。欧州では数年前から、少子高齢化に伴う自家用車の減少という潮流を踏まえ、公共交通を中心とした街づくりや暮らし方が政府主導で進められ、「MaaS」が推進されている。日本国内でも、地方観光拠点では2次交通の担い手が減少し、観光客と地域住民に向けた移動サービスの質的維持が難しくなってきている。

 こうした状況を背景に、両社は観光型MaaSにより、観光行動のシームレス化に加えて、国や自治体等と連携した新しい交通手段の開発などによって、従来の枠組みでは解決が難しかった地域課題の解消にも取り組む。実証実験には、楽天が決済ソリューションなどで協力するという。

 実証実験は、2019年春の「静岡デスティネーションキャンペーン」開催時に伊豆エリアで実施され、2次交通が検索・予約・決済できる機能と、宿泊施設、観光地等を連携させる。これにより、国内外の観光客が域内に点在する観光拠点をシームレスに移動できる仕組みを構築し、その効果を検証する。今後は伊豆エリアだけでなく、北海道や東北など他観光拠点での展開も視野に入れるとしている。(記事:M_imai・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事