バイオマスから油脂を生産する新種の酵母、理研などが発見

2018年9月24日 11:15

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グルコースとキシロースを効率的に取り込み油脂を生産する酵母。(画像:理化学研究所発表資料より)

グルコースとキシロースを効率的に取り込み油脂を生産する酵母。(画像:理化学研究所発表資料より)[写真拡大]

 理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター微生物材料開発室事業推進ユニットの高島昌子ユニットリーダー、大熊盛也室長、明治薬科大学微生物学研究室の杉田隆教授、龍谷大学農学部の島純教授、京都大学大学院農学研究科の谷村あゆみ特定研究員らの共同研究グループが、バイオマス由来の2種類の糖から効率よく油脂を生産する、新種の酵母を発見した。

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 油脂には様々な用途がある。非常に大きなくくりで分ければ、食品、医薬品、化成品などであるが、そのようなことから化学工業における基幹物質のひとつであるといえる。

 現状、油脂の多くは石油から科学的に合成される。だが、温室効果ガス抑制という観点から、これを将来的に漸減し、バイオマスや微生物を利用した新しい油脂の生産プロセスが今日、求められている。

 さて、酵母とは発酵などに用いられる真菌類の雑多な総称である。雑多な総称であるからひと口に酵母と言ってもさまざまな酵母があり、さまざまな用途がある。大きくいえば、糖を取り込んで変換を行うことで、さまざまな化合物を生産するのであるが、その中に油脂も含まれる。

 バイオマス由来の発酵原料糖には、グルコースとキシロースが主に含まれている。今回発見された酵母は、このふたつが存在するときに、グルコースとキシロースをほぼ同時に取り込むことで、高い生産性をもって油脂を生み出す酵母であった。ちなみに、名をCystobasidium iriomotenseという。

 なお、研究の詳細は、 "Lipid production via simultaneous conversion of glucose and xylose by a novel yeast, Cystobasidium iriomotense", のタイトルで、PLOS ONEに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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