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デジタルマネーでの給与支払い 賛否分かれる
東京都などは国家戦略特区の会議でデジタルマネーでの給与の支払いを行うための規制緩和を要望した。今後は企業も省庁も給与の支払いに関してより柔軟な対応が求められていくのかもしれない。[写真拡大]
給与は現金で支払われる。そんな当たり前のことが過去のものになるだろうか。東京都などは国家戦略特区の会議でデジタルマネーでの給与の支払いを行うための規制緩和を要望した。官民を問わず急速に進むキャッシュレス化の流れをくんで、銀行口座を通さずに給与の支払いを行う手法に賛否が分かれている。
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そもそも始まりは2015年に国家戦略特区においてベンチャー企業が規制緩和を要望したことだ。この時は厚生労働省の門前払いにあって要望は即却下された。というのも労働基準法第二十四条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めらているからだ。もしデジタルマネーでの給与の支払いを許せば、この条文の「通貨で」という部分に抵触してしまうかもしれない。ただしこの条文には続きがあり、確実な支払いの方法でかつ厚生労働省令で定められたものにおいては通貨以外でも給与が支払えると定められているのだ。現在多くの企業が採用している銀行振り込みによる給与の支払いも、本来は「直接」支払うという条文に抵触するが、例外的に認められている支払い方法となる。
ではなぜ今回ベンチャー企業のみならず東京都もデジタルマネーでの給与の支払いの規制緩和を求めたのか。その大きな理由は近年急増する外国人労働者にある。人材不足を解消するため外国人労働者に熱い視線が注がれているが、外国人労働者の中には銀行口座を持たない人も少なくない。外国人労働者が銀行口座を持つためには日本国内の住所や在留カードなどの条件を満たさなければならない。急増する外国人労働者に加え、世界に比べて日本が遅れているとされるキャッシュレス化も今回の規制緩和を後押しする要素となる。
今回も労働基準法がある限り、デジタルマネーでの給与の支払いが全面解禁になることはなさそうだ。ただしデジタルマネーの信頼性が格段に向上していることを考えると、国家戦略特区内で従業員の同意があった場合などの条件下で解禁するというのも一つの手であろう。今後は企業も省庁も給与の支払いに関してより柔軟な対応が求められていくのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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