ノバルティスが「老化防止薬」研究 免疫能力向上や加齢疾患への効果期待

2018年7月19日 18:30

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward曰く、 スイスの大手製薬会社ノバルティス(Novartis)が、「老化防止薬」の研究開発を進めている。この薬品はresTORbioというスタートアップ企業による研究を元に開発が進められているもので、高齢者の免疫能力を高める効果が期待されている。この薬で使われている成分はモアイ像で有名なイースター島で採取された土壌に由来するそうだ。

 注目されているのは、この土壌から抽出された「Streptomyces hygroscopicus」というバクテリアに由来する「rapamycin」という成分。これには「mTOR阻害剤」と言われる、TORC1と呼ばれる老化に関係する経路に作用する効果があるのではと見られているそうだ。

 研究では65歳以上の患者264人に6週間以上にわたりこの薬を服用してもらい、1年間の追跡調査を実施した。その結果、薬を服用した高齢者は、風邪や気管支炎にかかる回数が約40%少なかったという。

 研究者によると、免疫機能改善はこの薬の効果の一部に過ぎず、神経変性疾患などの他の加齢関連疾患にも効果がある可能性があるという。この錠剤は、TORC1の働きを抑制することで生物種(マウスや虫など)に対する研究で寿命を延ばせたという。ただ、人間の寿命も延ばせるかについて明確な答えが出るまでには時間がかかりそうだとしている(MIT Technology ReviewBloombergGuardian)。

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