箱根駅伝予選会の距離が21.0975キロへ 延長が持つ意味は?

2018年6月29日 21:29

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■箱根駅伝予選会の変更点

 6月28日、関東学生陸上競技連盟は第95回箱根駅伝予選会の距離をこれまでの20キロから21.0975キロ(ハーフマラソンの距離)へ変更することを発表した。伸びた距離は1.1キロ程度だがこの中には多くの意味が含まれている。

 まず一つは個人単位での記録である。20キロの競技はないのだが、ハーフマラソンの場合国際基準の距離のため記録にもつながる。モチベーションにもつながるかもしれないし日本長距離界にとって新たな発掘ができる可能性もある。

 もう一つは箱根で戦える選手が育つということである。箱根駅伝で20キロ以下の距離は4区しかない。しかし21.1キロとなると少し足りないものの、1区(21.3キロ)、3区(21.4キロ)、4区(18.5キロ)、6区(20.8キロ)、7区(21.3キロ)、8区(21.4キロ)がほぼほぼカバーできる。

 そのため予選会を突破したチームの中の4番手以降の選手の底上げができ、シード校のランナーに迫る走りができるのではないかという期待ができる。それにより繰り上げ校が減り、シード校と予選から勝ち上がった学校が肉薄していくのではないだろうか。

■話題の多い予選会

 距離だけではなく、今年の予選会は見どころが多い。まず昨年の全日本駅伝の覇者神奈川大学がまさかのシード権獲得ならず予選会に回った。全日本駅伝で優勝したため一躍箱根駅伝の優勝最有力候補にも挙げられたが、不発に終わった。

 さらに駒澤大学もシード権を逃した。古豪順天堂大学、中央大学、山梨学院大学もシード権を逃し、今年の予選会は「にぎやか」な顔ぶれになるだろう。

 さらに来年の箱根駅伝は95回の記念大会ということで出場校は例年より2校増となる。今までは「無理だ」とあきらめていた学校も「2校増えたことにより身近に感じることができ、もうひと踏ん張りできる」という想いが生じるかもしれない。

■「棚から牡丹餅」と言わせないために

 そして当日「あれ?日大は?」とならないために知っておいてほしことがある。日大はインカレポイントにより無条件で箱根駅伝本選出場権を得た。アメリカンフットボールの件を受け何かと話題となっている日大だが、この「好機」を生かし、本選を見据えたトレーニングに励み、爪痕を残してほしい。

 日大は「数人の実力者」と「その他」(要はエース級が3、4人いるのだが他のランナーが差をつけられてしまう)という結果に陥ることが多い。エースの走りを生かし底上げができれば、「彼らは運が良かっただけ」と言われずに済む。

 切り離せない人もいるかもしれないが、アメリカンフットボールと駅伝は切り離さなければいけない。「アンチ日大」という人が増えたかもしれないが、少しでも払しょくさせることができる走りとなることを期待したい。

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