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【パリメンズ2019春夏 ハイライト1】トップブランドのデザイナー交代、ストリートトレンドの行方に注目
2019春夏メンズコレクションサーキットの最後、パリメンズが2018年6月19日(仏現地時間)に開幕した。ミラノメンズでは、スポーツテーマをストリートスピリットあふれるアイテムやシルエットなどで新解釈した、スポーツ&ストリートがデフォルト化したかのごとく多く見られた。今シーズンのパリメンズでも、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のヴァージル・アブローが「ルイヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ アーティスティック・ディレクターに就任、そして「ディオール オム(DIOR HOMME)」には、「ルイ ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の前任者キム・ジョーンズが就任するなど、大きな流れになることは変わらないだろう。しかし、常にほかのファッションウィークより、2シーズン、3シーズン先の提案をしているパリだけに、どのような新トレンドや兆しが見えるのか期待が高まる。
開幕した6月19日は前夜祭的な意味合いが強く、「アンブッシュ® (AMBUSH®)」、「コモンスウェーデン(CMMN SWDN)」、「ゲーエムベーハー(GmbH)」など注目の若手や気鋭デザイナーがコレクションを発表した。また、「ジェイエムウエストン(J.M. WESTON)」は、ブランドとして初のパフォーマンスイベントをグランパレで発表した。
本格的なスタートとなった20日は、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」、「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」、「オーエーエムシー(OAMC)」らの他、パリでは初めてのメンズコレクションショーを行った「アンダーカバー(UNDERCOVER)」、ニューヨークからパリに戻った「ラフ シモンズ(Raf Simons)」がショーを行った。
オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)
「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」は、シャイヨー宮を会場に選んだ。世界でも有数の歴史的建築物の中に、森や草原を思わせるセットを設置し、ショーを行った。
「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ アーティスティック・ディレクターに就任し、自身のブランドにも注目が集まっていたヴァージル アブロー。大きなプレッシャーと闘っていたに違いないが、今シーズンもいい意味で変わらない、ブランドらしい洗練されたストリートスタイルを見せた。
コレクションの中で、特徴的なのはデニムのバリエーション。ダメージやペイント、刺繍などでアーティスティックに彩ったものや、スパンコールに覆われた煌めくジーンズ、ツギハギと染めで様々な表情を見せるGジャン…。そして一見デニムに見えるようなシャツをレザーなどの異素材で仕立てるなど、自由なマインドで様々な表現方法を繰り出した。また、作業着をイメージさせるようなアイテムたちも、大胆なボリュームやカッティングで動きを与えるなど、ヴァージル流のモダンストリートに昇華させていた。
・「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」2019春夏コレクション
ファセッタズム(FACETASM)
「ファセッタズム」は、社会通年的な分類やルールを超えて、自分たちが感覚的に好きなものを全部繋げてしまおうという「プット トゥギャザー(Put Together)」をテーマにコレクションを紡ぎ上げた。テーマの通り、様々な“繋ぎ合わせ”が登場する。デニムジャケットやMA―1、カーディガン、パーカーなどでは、後ろ身頃から袖にかけて、ジッパーで前身頃とは違う素材やカラーをつなぎ合わせている。また、シャツとフーディーが一体化したようなアイテム、シューレースのようなベルト、裏地を表に付けたようなポケットなど、既成概念を覆すことを楽しむかのようにプレイフルなアイテムが次々に飛び出してくる。「ファセッタズム」らしいレイヤードやリラックスムードは残しつつ、フラワーパターンやレースを用いたジェンダーレスな表現をしていたのも印象的。
・「ファセッタズム」2019春夏コレクション
アンブッシュ® (AMBUSH®)
「アンブッシュ」は、ポンビドゥーセンターにあるモダンアートの父、コンスタンティン・ブランクーシ氏のアトリエでプレゼンテーションを開催した。テーマは“WAVES”。アトリエの中庭で、ビーチ・ライフスタイルを描いたコレクションを発表した。髪を濡らしたモデルたちがまとうのは、アートなスピリットが感じられるナチュラル素材のアイテムたち。ヴィヴィッドカラーやストロングカラーが褪せたような色合いや、パールなどのアクセサリーがカジュアルでユースな雰囲気とそこはかとないリュクスを感じさせる。
・「アンブッシュ®」2019春夏コレクション
ジェイエムウエストン(J.M. WESTON)
「ジェイエムウエストン」は、アーティスティック・イメージ&カルチャー・ディレクターにオリヴィエ・サイヤール(Olivier Saillard)を迎え、ブランドとして初のパフォーマンスイベント「27足の靴のデフィレ(DEFILE POUR 27 CHAUSSURES )」を発表した。ファッションショーのほか、軍事パレードを意味する“デフィレ”の言葉通り、パレードに模したようなパフォーマンスで2019春夏コレクション11モデルを披露。コンテンポラリーダンス界をけん引する第一人者マチルド・モニエのパフォーマンスを、アート界・モード界関係者が見守った。
・「ジェイエムウエストン」2019春夏コレクション
ブリオーニ(BRIONI)
「ブリオーニ」は、パリ8区の屋敷でコレクションを発表。豪奢な間をいくつも持つ会場をゲストが歩いてコレクションを見るという形式だ。全部で11のブースが設けられ、各ブースでは人物のライフシーンを感じとれるように、音、匂い、そしてワードローブを表現した。この手法は前回と同じであるが、今回はそれぞれの人物の旅でのシーンを表現。実業家やアーティスト、ジャーナリスト、外科医など、豊かな人々の価値観と体型にフィットさせたアイテムを展示した。
・「ブリオーニ」2019春夏コレクション
取材・文:山中健、アパレルウェブ編集部
※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。
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