トヨタ・新型クラウン発売(2) 懐かしの「スーパーサルーン」廃止は若返り策

2018年6月22日 17:34

印刷

クラウン・コンセプトの外観。(画像: トヨタ自動車)

クラウン・コンセプトの外観。(画像: トヨタ自動車)[写真拡大]

 現在に至るには、日本の経済成長によりベンツ、BMWなどの外車ブームの到来があり、トヨタもクラウンの上位車種としてセルシオを発売し、後の「レクサスブランド」の創設と共に、クラウンの社会的地位の変革が起きたのだった。クラウンユーザーの平均年齢は現在60歳台後半ともいわれ、高齢化が進む中で、ユーザー層の若返りの試みが幾度となく行われてきた。3代目の時、「白いクラウン」「ハードトップ」「いつかはクラウン」などのキャッチフレーズでオーナーカーのイメージを作り上げ、団塊世代のハートをつかんでいた。それが現代のクラウンアスリートの年齢層まで引き上げてしまい、現在のオーナー平均年齢は70歳になろうとしている。

【前回は】トヨタ・新型クラウン発売(1) 梯子型フレームが作った歴史と小型車枠がもたらしたスタイル

■懐かしの「スーパーサルーン」廃止は若返り策

 今回のトヨタ・新型クラウンが、ユーザー年齢層を40~70歳台までカバーすることが出来るのか興味がある。そのことに関して、クラウンのもう1つの特徴が大きく関与してきたと感じている。それが「スーパーサルーン」「ロイヤルサルーン」「マジェスタ」などの仕様のランクを示す名前だ。「スタンダード」と「デラックス」しかなかった日本の自動車市場で、「スーパーサルーン」は一種の流行り言葉にもなっていた。現在であれば「流行語大賞」であろう。クラウンがモデルチェンジするときには、次の最高級仕様はなんと命名するのか?楽しみにしたものだ。「スーパーサルーン」の次が「ロイヤルサルーン」と聞いた時には、友人と顔を見合わせたものだった。

 高度成長を突き進む日本の勢いを感じる言葉であったのだ。それが、経済成長の中心であった団塊の世代の、現代まで続くクラウンの印象を作り上げているものと感じる。現在、勢いのある中国国民はEVに何を感じているのであろうか?

 さて、1,000万台の生産を誇るようになったトヨタにとって、余裕で造れるのは確かであろうが、国内専用、少数生産となってしまった世界のプレミアムセダンと同じFR駆動を維持する、トヨタ・新型クラウンの行方を見つめて、団塊世代の「リタイヤのはなむけ」としよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事