メルセデス・ベンツ新型S450 新感覚HVでデビュー プロが考えるモーターアシスト(2)

2018年6月12日 07:33

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48V電源(画像: メルセデス・ベンツ日本)

48V電源(画像: メルセデス・ベンツ日本)[写真拡大]

  • メルセデス・ベンツS450

■エンジンの欠点を補うモーター

 この一般論を踏まえて、S450のパワーユニットを見ると、ターボチャージャーに48V電動スーパーチャージャーを併せ持っている。ターボチャージャーは「ダウンサイジング」しても出力を落とさないためであり、低回転から有効なトルクを得ることが出来る。しかし、ターボチャージャーつまり排気タービンでは、排気のエネルギーを有効に利用できる優れたシステムなのだが、エンジンがある程度回転して排気に力が出てくるまで有効に働かない。「ターボーラグ」と言われる反応の悪さだ。それをいろいろな工夫で克服してきてはいるのだが、エンジンの回転とは別に電動で、チャージャー(過給機)を初めから別途回せれば、ターボーラグがなくなるわけだ。

【前回は】メルセデス・ベンツ新型S450 新感覚HVでデビュー プロが考えるモーターアシスト(1)

 こうしたシステムにさらにモーターを加えると、実用性が飛躍的に高まるパワーユニットが生まれるわけだ。ベンツはシステムの性能を最高のレベルまで引き出して、乗り心地に優れ、各種の性能に優れた、現時点で理想的な乗り物を作ってきたのだ。

■48V電源の採用は電動化エンジンの基本となるのか

 エアコンやウォーターポンプなども電動にして、力不足を起こさないため48V電源としたシステムを採用している。いよいよドイツメーカーは、高級車には48Vシステムを採用し、電動化に踏み切ってきたようだ。このシステムが、今後の中心となると見られている。こうしてメルセデス・ベンツも、ガソリンエンジンに、時代が要請する機能を持たせることを中心にして、電動化を進める姿勢を選んでいる。これは、「トヨタ方式のHVが、燃費性能が高いため」、対抗することが難しいのと、北米、欧州での交通の流れは日本とは比べ物にならないくらい早く、トヨタ式HVのメリットが出にくいことによるものだ。さらにはVWなどの「EU各国のメーカーが選んだクリーンディーゼルのつまずき」がもたらしたものとも言える。

■実用域での性能アップ

 おそらくは、トヨタ式HVを用いれば、燃費に関してもっと優れた性能を発揮するのであろう。しかし、ガソリンエンジを中心としたパワーユニットの構成の中で、ターボチャージャー、スーパーチャージャーなどでエンジン性能を最高に高め、それにモーターを組み合わせたシステムとした。これは燃費以外の「実用使い勝手では、現在の最高の性能を示している」と見える。「ハイブリッド(HV)」と言わないところは、ドイツのメンツなのかもしれない。このパワーユニットの方式には、今後、注目していこう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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