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製薬企業に淘汰・再編の時代到来の理由
周知の通り安倍政権は医療費(社会保障費)削減に躍起となっている。例えば医療用医薬品の使用量に占めるジェネリック医薬品(後発医薬品)の割合を「8割まで高める」としている。そして具体策として「薬価引き下げ」を行ってきた。利幅の高いブランド品(新薬)に対し廉価なジェネリックの使用を増やし、医療費負担の軽減を進めようというわけだ。現在の医療用医薬品の(国内)市場は約10兆円。薬価は国が定める。薬価が下がればその分、保険料負担を減らすことができるからである。
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薬価見直し(引き下げ)は、2年に1度行われてきた。それが2021年からは1年に1度となる。製薬業界のアナリストの見方は、「薬価引き下げの進行を前提とした改定だ。製薬企業の収支はその分さらにきつくなる。厚労省はそうした流れの中で大手製薬資本によるM&A、中堅中小製薬の淘汰再編を視野に入れている」で大方一致している。
前期の売上高380億円水準で、「緊急性医療」や「婦人科系医療」に強みを持つ企業(仮にA社)がある。現状では後発医薬と新薬医薬品の割合は約7対3。
A社の社長はこの比率を「5対5に引き上げる方策を加速する」と語っている。その意味するところは「利幅の大きい新薬のウエイトを高めることで収支の落ち込みを下支えする」ことにあることはいうまでもないが、アナリストはさらにこう噛み砕く。「特異な領域に強みを持つことが、大手資本のM&Aに晒されかねない。避けたい。中堅中小製薬の淘汰・再編の波に巻き込まれるなら、主導権を持つ側に立ちたい。それには新薬のウエイトを高め少しでも体力の向上を図っておかなくてはならないからだ」。
断るまでもなく新薬の開発には膨大な資金と時間を要する。ではどうやってA社は対応しようというのか。「導入・導出」の積極的活用に賭すとみる。海外のB社で既に開発済みの得手領域の新薬の「導入」契約を結ぶ。その上で当該薬の国内での臨床試験を経て新薬として登録するという枠組みだ。
圧倒的に一般医薬品の割合が高い大正製薬が「医療用医薬品」部門の蓋を閉めないのも「導入」の余地を残し、国内で認証された後にその主成分を活かした一般医薬品の拡大を意図しているからだ。
1年毎の薬価改定は、業界の再編への号砲ともいえる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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