スバル・新型フォレスターe-BOXER(2) 燃費に見る「技術的狙い」と「経営的価値」

2018年5月23日 19:30

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スバル「フォレスター」。(画像: SUBARUの発表資料より)

スバル「フォレスター」。(画像: SUBARUの発表資料より)[写真拡大]

■燃費に見るe-BOXERの「技術的狙い」

MotorFanの記事より、

“(1)【新型フォレスター Advance(e-BOXER)】
2.0L・FB20水平対向 4気筒直噴エンジン+モーター
JC08燃費:18.6m/ℓ
WLTC総合(社内測定値):14.0km/ℓ
WLTC市街地モード:11.2km/ℓ
WLTC郊外モード:14.2km/ℓ
WLTC高速道路モード:16.0km/ℓ

(2)【新型フォレスター Touring(FB25)】
2.5L・FB25DI水平対向4気筒直噴ガソリンエンジン車
JC08燃費:14.6m/ℓ
WLTC総合(社内測定値):13.2km/ℓ
WLTC市街地モード:9.6km/ℓ
WLTC郊外モード:14.6km/ℓ
WLTC高速道路モード:16.4km/ℓ”

【前回は】スバル・新型フォレスター e-BOXER(1) これぞプロの技 実用トルク・燃費向上 あとは経営問題

 上記、新型フォレスターの燃費の数値からは、高速域ではガソリン車で燃費がわずかに良く、市街地モードでe-BOXERが大幅に良い結果によることから、このシステムは市街地での実用燃費に優れていることが分かる。これは実用性が高く、ユーザーにとって良い結果をもたらすシステムと言える。

 おそらくは、発進低速時のエンジンの欠点である低トルクをモーターで補うことが、「ラフロードの走破性」を上げることから、このシステムは発想してきたのであろう。それが「街乗りでの使い勝手」を向上させ、燃費も改善することが分かってきたのだろう。しかし、それを拾い上げるのがスバルは遅い。10年遅れていると経営陣は反省するべきだ。すると、組織改革が本格的に始まる。そして、それが「品質保証においても基礎」となっていることに気付く時が来るだろう。売上管理、コスト管理など決算数字に表れる直接的部分だけのチェックでは、企業全体のシステムが劣化していくのを知ることだ。

 SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)の採用が決算数字に結び付く関連性は理解しやすいかもしれないが、e-BOXERが決算数字に結び付くことを理解するには、これまでは少々遠かったのかもしれない。しかし、現在では世界的にEV化の流れが表面化して、e-BOXERのような技術開発が企業戦略に必要なことが理解できるはずだ。後は、理解が遅れたことを反省する必要がある。品質保証の問題と共に考えることだ。すると「何をすべきか」おのずと見えてくる。

■商品価値を造るe-BOXERの「経営的価値」

 実用的に優れた性能を作り出しながら「商品価値」を感じることが出来ないと、売上げの実績として評価できないことになる。また、スバルの経営陣がe-BOXERの「経営的価値」を十分に理解できていないため、戦略的にモーターアシストを全車種に展開できてこなかったという結果を生んだのであろう。

 ここへきて遅ればせながらスバル経営陣が理解できたのなら、この失敗は経営陣の認識不足、組織編成、組織運用のまずさにあることを自覚することだ。データ書き換えなど不祥事が出ていることとの関連性をよく勉強することだ。「部下がやった」「教育不足だ」など稚拙な見解を見せることは、「法的立場の確保」の場面以外では見せるべきではない。「国土交通省に対する報告書」で見せた経営陣の姿勢は社内のモチベーションが下がるので、別途手立てが必要となってしまっていることを知るべきだ。

 今後、トヨタから提供を受けるかもしれないと言われている「本格的HEVシステム」の戦略的ストーリーを、社員全体に浸透させるべきであろう。こうして「実務でのボトムアップを含めた意思疎通」を、どうしたら確実とすることが出来るのかを研究することだ。広範囲で持続して行える実力を備えるには、「大変大きな作業量」であると自覚することが大事だ。テスラの動向や、トヨタ、コマツのQCサークルを中心とした進め方、規模の近いマツダの戦略も参考となるはずだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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