いよいよ電動プレーン、エアバスが本格的研究 空のライドシェア 電動VTOL機の市場

2018年4月27日 07:47

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 いよいよ航空機の電動化が始まった。2020年にも実用化が始まると言われる。ドローンでもEVでも夢が先行しているきらいがあるので、電動プレーンについて実用化のめどを探ってみよう。

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■夢と実用化は別次元

 2019年ごろから「空飛ぶ車」が実用化されると言われている。それは、これまでの「軽飛行機とスポーツ機」と言った基準で型式証明を取るようだ。翼をたたんだまま自宅からクルマで出かけて、空港で翼を広げて舞い上がるというのだ。それもフル電動で。この車と飛行機の合体した形は、60年以上前から空想されてきた。私が子供のころ、科学絵本に想像図が載っていたのを覚えている。

 アメリカ社会の交通機関では公共機関の概念が薄く、個人主義に乗っ取って、昔から広い国内を移動するのに便利な方法として考えられてきたのだ。しかし、ご存知の通り航空機の場合、事故の確率を低く抑えないと被害がひどくなる確率が高く、各国とも厳格な飛行規則を設けて整備の規制も厳しくしている。未だに三菱MRJが型式証明を取れないことを見ても、自動車と基準を同じにすることはできない。

 小型機の分野では、都会部に発着することを考えてVTOL(垂直離着陸機)、つまりドローンの大型が考えられている。日本では嫌われ者のオスプレイで有名だが、確かにVTOL機は開発時に事故が相次ぎ、「危険な乗り物」との印象が出来てしまった。ドローンが出てきたときも夢は膨らんだが、実用に供するには危険が大きすぎる。現在では規制が引かれて、「物流」つまり宅配などに使うことはまだ先のことだ。まして、軽飛行機の飛行を危ぶむ日本では、電動VTOL小型機の実用化は夢のまた夢。

しかし電動プレーンは、エアバスをはじめ、世界ではたくさんの企業が研究を始めている。実現するには、安全基準をこれまでの航空機並みとするのでは、ほぼ不可能となろう。すると、ライドシェアの考え方では同じように安全性の確保が危ぶまれるので、「公共交通機関」としての可能性が残っている。しかし、都心と空港の連絡に出来るはずのヘリコプターの利用でも実現していない。

■燃費向上策としての技術革新

 一方、中・大型機では、むしろ急速に電動化が進む可能性を秘めている。これまで熱効率を高める努力は、ターボファン・ジェットエンジンの先端にあるファンの直径を大きくすることで実現してきた。昔のB707のエンジンナセルの直径とB787のそれを比較すれば、かなり直径が大きくなっていることに気づくはずだ。しかもナセル前半分ファンの部分で、途中で中断し、後半はターボジェット部分で直径が小さくなっていることが分かる。

 つまり、ターボジェットの燃焼排気の勢いだけでなく、ファンを駆動させることで、合わせた推進力が得られているのだ。プロペラの小さなものを付けていることになる。もっとも、亜音速、超音速の領域はプロペラでは飛べない。

 電動プレーンは、これをモーターでファンを駆動することにすることで推力を得ようとしている。しかし、これで実用化しようとすればバッテリーが重くなって、とても現在のバッテリーでは実用化できない。現在はバッテリーの技術革新を待っているようだ。その一方で、HEV(ハイブリッド)が考えられている。この場合、10%程度の燃費向上しか望めないが、ターボファンジェットの燃費向上が限界に近付いている中で検討されている。

■夢と実用化の壁にこそ技術革新が必要

 ドローンにおいても夢が先行していたが、電動プレーンも一部で実用化が進むものの、全面的に実用化できる社会は先になるだろう。オスプレイの実用化が信頼できないレベルであれば、電動VTOL小型機が市街地を縦横に飛び回る図は考えられない。また、熱効率において、発電が「火力発電」に頼っていては、EV化になっても地球温暖化は止められまい。研究開発を進めていかなければ進歩はないが、最近専門家やジャーナリストが「あふりたてる」物言いが多い中で、冷静に技術開発を見定めることが必要だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワードハイブリッド車ドローンオスプレイMRJ(三菱リージョナルジェット)エアバス空飛ぶクルマ

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