パラアイスホッケー 劇的な結末と日本に迫られる課題

2018年3月21日 07:46

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 今月18日に幕を閉じた平昌冬季パラリンピック、日本選手団の獲得メダル数は計10個(金3、銀4、銅3)と、前回2014年のソチ大会の6個を上回る結果に終わった。

 アルペンスキー女子5種目で表彰台に登った村岡桃花を初め、個人競技での活躍が目立った一方、8年前のバンクーバー大会で銀メダルを獲得したパラアイスホッケーは今大会、8位に沈んだ。

■アイスホッケー大国によるハイレベルの決勝戦

 世界最高峰の戦いが繰り広げられた。最終日に行われたパラアイスホッケー決勝、カナダ対米国。

 第1ピリオドにカナダが先制し、1対0のまま一進一退の白熱した攻防が続く。試合終了まで第3ピリオド残り1分30秒、リードされていた米国はGKをベンチに下げ、攻撃的な選手を入れての6人攻撃で得点を狙う。

 そして終了間際、今大会決勝まで無失点だったカナダから米国FW・ファーマーがゴールを奪い、土壇場で同点に追いついた。さらに延長で逆転に成功した米国が劇的な優勝を遂げ、五輪3連覇を目指す米国の執念が金メダルを引き寄せた。

 両チームとも技術・スピードでは大会で群を抜いており、終始ハイレベルの展開が続いた決勝戦は、冬の祭典の最後を飾るにふさわしい大国同士の威信を懸けた熱戦だった。

■日本は技術向上の他、選手の確保も

 2大会ぶりに出場し5戦全敗、出場国中最下位に終わった日本は今後に向け、結果以上の厚い壁が目の前を覆う。

 今大会出場の17人は平均年齢が40代を超えており技術の他、スピード、パワーでも圧倒された。試合中、パックを追いかけ相手と競いながらも大きく置いて行かれる場面も目立ち、体力面での差も明らかだった。

 決勝を戦った両国は若手からベテランまで選手層は広く、2得点を挙げ金メダルに大きく貢献した米国のファーマーは20歳、他にも10代の選手の出場もみられた。また、米国の選手の大半は世界最大のプロアイスホッケーリーグ・NHL傘下のクラブに所属するなど、日ごろから充分な競技環境の中で底上げを図っている。

 一方、日本国内でのパラアイスホッケー競技人口は100人に満たず、活動するクラブチームも僅かしかない。全試合終了後、日本を率いた中北監督は「なんとか裾野を広げて選手を増やしていかなければならない」と語った。4年後の北京大会や札幌が開催を目指している2026年大会、さらには国内での競技の存続の為にも底辺を広げていくことが急務といえる。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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