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「臨床宗教師認定制度」設立を考える
「臨床宗教師」について日本大百科全書は、「死期が迫った患者や遺族に対して、宗教や宗派にかかわらず、また布教伝道をすることもなく、公共性のある立場から専門的な心のケアを行う宗教者。死への不安、生きる意味の喪失感や罪責感、愛する人を失った悲嘆など、それぞれの心の苦しみや痛みを理解し、和らげるための支援を行うことを目ざし、その人材育成の動きが始まっている」(原文、まま)と解説している。
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日本でこの「臨床宗教師」的存在が芽生える契機となったのは、2011年3月に起こった東日本大震災である。宮城県下の2050の宗教法人(当時)が加盟する「宮城県宗教法人連絡協議会」が主体となり、「心の相談室」を設置し遺族のケアや相談にあたった。この流れが翌12年に東北大学文学部に地元の宗教関係者らの寄付で「実践宗教学寄付講座」が開設された。この際の受講生が実質上の「臨床宗教師」のはじまりとされる。東北大学での養成がキッカケとなり「日本臨床宗教師会」が発足。臨床宗教師認定制度に向けた動きが生まれた。龍谷大学や高野山大学などで「養成・研修」の場が設けられ、現在その場は7大学に及んでいる。
そして今年3月、臨床宗教師「認定制度」が新設された。この間の事情を知る向きは「養成・研修生は既に被災地や医療・福祉機関などで活動をしてきたが、宗教への偏見から協力を得られないケースも少なくなかった。その壁を破るには布教活動などを目的としない公共性の高い職種であるという証明が必要だった。それが臨床宗教師認定制度のトリガーとなった」と解説する。3月に第1号として認定された員数は146人。養成・研修修了者126人に加え、先駆者として300時間以上の臨床経験を積んだ20人も認定証を手にした。
読者の捉え方も決して一様ではないだろう。だが高齢化社会の進捗一つを例にとっても、それは「死」と向き合わざるをえない人の増加を意味する。その視点からも「臨床ケア」の専門家は不可欠ではないだろうか。「宗教師」に限らず「臨床ケア士(資格保有者)」を育成するのも、国・政治が果たす役割だと考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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