関連記事
NICTなど、スマートフォン搭載を見越した超小型原子時計を開発
圧電薄膜共振子を用いた発信器の写真。(画像:情報通信研究機構発表資料より)[写真拡大]
情報通信研究機構(NICT)、東北大学、東京工業大学の共同研究グループは、シンプルで小型の原子時計システムを開発した。最終的にはスマートフォンに搭載できるよう実用化するのが目的であるという。
【こちらも】NICTが世界最高出力の深紫外LEDを開発
原子時計は現在知られている限りもっとも高精度な時計である。原子のスペクトル線の周波数を標準として時を刻む。一口に原子時計といってもピンキリあるのだが、最高クラスのものは3,000万年に1秒程度しか誤差を生じない精度を持つ。
民生用の安物(といっても安いもので1万円近くはする)でも、その精度は3,000年に1秒ほどという水準にあり、実用レベルではまったく問題がない。ちなみに、現在、国際標準時や日本標準時などの標準時も原子時計で計算されている。
さて、今回の研究は、市販の小型原子時計(小型といっても置時計くらいのサイズにはなる)とは比較にならない、マイクロチップのような大きさの原子時計を開発する、という試みである。
現実問題として、市販の原子時計を自宅に置いている人間はそう多くはないだろうし、原子時計の普及というのは企保的にはGPS衛星や無線基地局など特殊なニーズのある場に限定されている。だが、高精度な通信同期網を構築するためには、理想を言えばあらゆる通信機器に原子時計を搭載することが望ましいのだという。つまり、すべてのスマートフォンに原子時計を、ということになる。
実際にどういう技術が用いられたのかについては難解に過ぎるので詳述しないが、今回、マイクロ波発振回路の簡略化なるものの成功により、大きさは米粒の上にいくつも乗るレベル、そして精度は3,000年に1秒クラスという原子時計が完成したという。
なお、今後はさらなる低消費電力化を目指しており、2019年をめどにその研究が続けられる。研究の詳細は1月21日から25日に英国で行われる国際学会で発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード