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混合介護への期待 介護職者の収入増加と人手不足解消に
介護事業に正社員として従事する就労者の労働組合である「日本介護クラフトユニオン」が加盟員4,277名を対象に行った調査で、あらためて厳しい現状が明らかになった。月給制就労者の約8割が「働く上で、不満がある」とし、その理由として「賃金が安い」が56%強を占めたのである。
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安倍首相も「介護職者の収入水準の引き上げ」を掲げている。と同時に「低賃金/人手不足/高離職率」対策として、「混合介護」の検討・議論が始まっている。2016年の「介護分野に関する調査報告書」(公取委)や今年6月の「規制改革実施計画」(閣議決定)で、厚労省が検討を進めることが決まっている。東京都と豊島区も18年度以降の「モデル事業」として、検討を進めている。
混合介護(公的介護制度に定められた介護+利用者の自己負担による介護)は確かに、前記した様な介護職者の環境悪化の連鎖に「歯止め」をかけうる要因としての期待がもてる。
訪問介護を例にとると、期待が具体的に見えてくる。介護保険制度下の訪問介護には「訪問時間・回数」に上限が定められている。その一方でヘルパーが対象者の自宅を訪れるのは朝・昼・夕のうち「限られた時間」が実態。公的介護でヘルパーが拘束される時間は限られている。空いている時間を活用し「利用者以外の食事を作る」「利用者以外の部屋の掃除をする」といった「自己負担介護」の実践は、どの程度の割合がヘルパーの財布に入るかはともかく「着実な収入増」につながる。と同時に在宅介護を担う家族の負担軽減にもなる。
豊島区が検討を進めている具体的な状況を垣間見る機会をえた。どう混合介護に生かすのかは「?」だが、「外国語や方言、手話、栄養士、エステシャン、家電・ITの知識が豊富」とする条件まで加えられていた。紋切り型のお役所仕事を覗いてしまった感が強い。まあ確かに「栄養士の有資格者に公定介護/自己負担介護を任せる」のも一つの施策ではあるが・・。が「混合医療」と同質である必要はない。要は介護職者の収入を増やす道に絞って検討がなされれば、例えば若い人が斯界に目を向ける契機になる。それが「人手不足」解消にも大きな要因となるはずである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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