【どう見るこの相場】地政学リスクが高まり様子見ムード継続

2017年9月4日 09:09

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 今週9月4日~8日の株式市場は様子見ムードを継続しそうだ。ドル高・円安が進まず輸出関連企業の業績上振れ期待が後退するなど、好材料に乏しい状況が続いている。一方で、北朝鮮の核実験で地政学リスクが再び高まる。さらに米国の政治・財政リスク、米利上げ観測後退などで為替がドル安・円高方向に傾くことが予想され、日本株もリスクオフの動きを強める可能性がありそうだ。

■日本株は好材料乏しく様子見ムード継続

 前週(8月28日~9月1日)は、北朝鮮のミサイル発射を受けて週前半に為替が1ドル=108円台前半までドル安・円高方向に傾き、日経平均株価は29日に5月1日以来の安値水準となる1万9280円02銭まで調整した。ただし、その後は移転して為替が1ドル=110円台半ばまでドル高・円安方向に傾く流れとなり、日経平均株価は週末9月1日に1万9700円台を回復する場面があり、戻りを試す形となった。

 今週(9月4日~8日)も好材料に乏しい状況に変化はない。一方で、北朝鮮が核実験を行ったことで地政学リスクが一時的に高まりそうだ。また米政府の債務上限問題や政府機関閉鎖問題も9月末まで継続するだろう。さらに前週末1日の米8月雇用統計が市場予想を下回る結果だったことを受けて、米FRB(連邦準備制度理事会)の追加利上げ観測も一段と後退しそうだ。為替がドル安・円高方向に傾くことが予想され、日本株は様子見ムードが継続しそうだ。

 国内では4~6月期決算発表を通過して好材料が乏しいうえに、東日本の長雨や日照不足による個人消費への悪影響が警戒され、さらに為替がドル高・円安方向に進まないことで、自動車など輸出関連企業の7月~9月期の業績上振れ期待が後退している。またチャートで見ると日経平均株価は25日移動平均線を突破できるかが焦点となるが、週初に反落すれば25日移動平均線が抵抗線として意識される形となりそうだ。前週の戻りを試す動きに水を差される形となって、リスクオフの動きを強める可能性もありそうだ。基本的にはリスクオフムードと閑散相場に大きな変化はないだろう。

■好業績の内需系中小型株に注目

 物色面でも主力大型株が敬遠され、好業績・好材料の中小型株に短期資金が集まる流れが継続しそうだ。医療・シルバー関連のように、為替や天候不順の影響を受けにくく、ディフェンシブ性の強い内需系中小型株に注目したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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