関連記事
世界最大級コワーキングスペース『we work』から見る働き方
2兆円規模とも言われるNY初のコワーキングスペース「we work」の日本進出が噂されている。[写真拡大]
2兆円規模とも言われるNY初のコワーキングスペース「we work」の日本進出が噂されている。同社から公式発表はないものの、4月に日本法人向けの求人が行われていたことなどから、日本進出はまず間違いないだろう。今年3月にソフトバンクグループ<9984>が10兆円規模の投資を発表した際、その投資先に名を連ねていたことで一躍有名になったwe workであるが、なぜここまで巨額のビジネスを生み出したのだろうか。
【こちらも】働き方改革で進むリモートワーク、デジタル環境や生産性で課題
リーマンショック後の不況の中、ニューヨークにはフリーランサーの数が増大した。そこに目をつけたwe workは、前身となるコワーキングスペースをブルックリンに立ち上げる。”コワーキングスペース”という言葉自体少し前までは聞きなれないものであったが、独立した者同士が共同のワークスタイルをとりながら刺激し合うこの場所は、リーマンショック後の起業家たちにはうってつけの環境であった。
競合他社も多い中これだけ成長を続けるwe workの特徴を考えると、まず洗練されたオフィスデザインが挙げられる。世界中に140以上の拠点、どのオフィスも非常にオシャレで“インスタ映え”する造りだ。料金プランも、月額45ドル?400ドルと幅広く設定されていれば、若手起業家たちが放っておかない。しかし、いくらインスタグラムにwe workのオフィスをアップして人気を集めるからといっても、フリーランサーにとって月額45ドルとは決して安い金額ではない。もちろんネットワークやOA機器の充実、などの配慮も手厚い。そして何よりwe workが掲げるコンセプト「人生のための仕事」が時代にマッチしている。お金のためだけに働くという姿勢の転換を促し、それを実行するための様々なサポートを充実させた。イベントやオンラインを通じてのコミュニティ形成は、大企業に従事しない働き手には大変魅力的である。組織内の権力に左右されない横の繋がりから事業を拡大し、ライフスタイルの延長線上で働くことを求める人が圧倒的な勢いで増加しているのだ。
では、進出の噂される日本の環境はどうであろう。働き方改革が叫ばれる中、実際どれだけの企業で変革が行われているかは疑問符がつくところではあるが、新しい動きが見えているのも事実だ。
今年5月にオープンした「渋谷キャスト」はその代表的なものの一例である。同ビルは”創造性の誘発”というコンセプトのもとに構成され、シェアオフィスはもちろんのことイベントスペースや打ち合わせに利便性のあるカフェ、共有スペースを設けた居住空間など、すべてがコミュニティ形成と、ビル全体がコンセプトを強固にさせるための仕掛けとなっている。渋谷キャストの成功の有無を判断するにはまだ時期尚早だが、同ビルのシェアオフィスが開業前に稼働率100%に達したことからも、ニーズがあることは明白である。
「駅近」「高層」「清潔感」がAクラスのオフィスだとされていた時代は終わりを告げているようだ。仕事とプライベートの境界が薄れていく中、ライフスタイルにも反映される”付加価値”がオフィスビルにも求められている。(編集担当:久保田雄城)
■関連記事
・働き方改革 オフィスから工場・店舗など多様な業務領域へ拡がる傾向に
・「有給休暇は取得しづらい」6割が実感
・今、業績を上げている企業が実践している、ある一つの共通点
・国の施策に理解、協力をお願いしたい 安倍総理
・女性が活躍しやすい環境づくりを推進する 総理
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク