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大相撲5月場所 白鵬復活の陰で…感じた「四横綱時代」の難しさ
大相撲5月場所は横綱白鵬の38回目の優勝で幕を閉じた。昨年の5月場所以来となる優勝を全勝で飾り、1年間賜杯を逃し続け衰えがささやかれる中、大横綱らしい強さを発揮した場所となった。一方で、稀勢の里、鶴竜の2横綱は途中休場。これにより、先場所からの「四横綱時代」は2場所続けて4人揃っての皆勤はできなかった。
【5月場所は】白鵬全勝優勝!高安大関昇進確定か!見どころ満載の5月場所終了
■続く横綱の休場
今場所も番付け最上段に「や」の文字が並んだ。
西の横綱として今場所を迎えた鶴竜は左足関節の負傷により5日目に休場。先場所痛めた左胸付近の負傷を抱えたまま強行出場を決めた東の正横綱・稀勢の里は11目から休場となり、千秋楽まで土俵に上り続けたのは、結びを務めた白鵬と日馬富士の2人だけだった。
5日目、横綱昇進後19場所中5度目の休場が決まった鶴竜に対し、「横綱としての責任を」といった声が上がった。また白鵬、日馬富士ともここ1年の間で複数回の休場場所があるなど、確実に何れかの横綱不在の場所があり、この先も同様の不安を抱かざるを得ない。
平成に入り4人の横綱が在位した場所は今回を含め計12場所(平成2年㋈~平成3年5月、平成11年7月~平成12年3月、平成28年3月~)あったものの、4人全員が千秋楽まで取り切ったケースは平成2年11月場所(千代の富士・北勝海・大乃国・旭富士)の一度しかない。横綱の地位に登り詰めるまでには殆どの場合、長い年月をかけ、そこに至るまでに様々な苦難を経てたどり着き、心身とも万全とは言えない状態で最高位に君臨し続けることもあるため、全員の皆勤が如何に困難であるかがわかる。
■高い壁としての存在を
それでも、白鵬が6場所ぶりとなる優勝を果たしたことはせめてもの救いともいえる。10日目の高安戦に勝ち、勢いに乗る力士に対し横綱としての誇りを強烈に見せつけた。先場所に続いての横綱の優勝により、最高位の面目はかろうじて保たれたが、横綱同士での千秋楽までの優勝争いを願いたいものだ。近年は照ノ富士や豪栄道ら大関陣が優勝に絡むこともある反面、最終盤まで横綱に優勝の可能性が残るケースがやはり減ってきている。
左胸の負傷により休場した稀勢の里に関しては場所後の横綱審議委員会において、治療に専念するため名古屋場所の休場を促す意見もあったという。四横綱の皆勤が成され、尚且つ、全員での優勝争いを繰り広げる日は訪れるだろうか。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る)
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