お酒を飲むと赤くなりやすい人は大腿骨骨折をおこしやすい

2017年4月9日 21:29

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記事提供元:エコノミックニュース

研究では、大腿骨近位部位骨折をおこした92名を大腿骨近位部位骨折群(骨折群)、そしてこれをおこしておらず骨粗鬆症の診断基準も満たさない48名を正常群として、対象者の同意を得たうえでゲノムDNAを回収した

研究では、大腿骨近位部位骨折をおこした92名を大腿骨近位部位骨折群(骨折群)、そしてこれをおこしておらず骨粗鬆症の診断基準も満たさない48名を正常群として、対象者の同意を得たうえでゲノムDNAを回収した[写真拡大]

 大腿骨近位部骨折は骨粗鬆症による骨折の中でも最も重いものとされているそして、寝たきりや要介護の要因にもなる。また、発症後1年で死亡する人もおり、その予防は重要とされている。現在、多くの治療薬が臨床応用されているが、その発生数は増加の一途をたどっている。このため、これまでの治療薬とは違ったアプローチの必要性が問われている。

 一方、飲酒のした際に顔が赤くなりやすい人は、アルコールを飲んだ後のアルコール代謝の過程で発生するアセトアルデヒドの分解に機能するALDH2という酵素タンパク質が、遺伝子的に活性が弱いか欠けているという。この遺伝は、日本人など東アジアの人種に多いとされている。

 今回、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の宮本健史先進運動器疾患治療学寄附講座特任准教授らは、飲酒した際に赤くなりやすい体質の遺伝子多型を有する人は、その多型を持っていない人に比べて飲酒すると赤くなるflash syndromeと呼ばれる体質の原因となる遺伝子多型であるrs671の保有率の比較により、2.48 倍、骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折をおこしやすくなることを明らかにした。さらにビタミンE摂取が予防に効果がある可能性も見出した。

 研究では、大腿骨近位部位骨折をおこした92名を大腿骨近位部位骨折群(骨折群)、そしてこれをおこしておらず骨粗鬆症の診断基準も満たさない48名を正常群として、対象者の同意を得たうえでゲノムDNAを回収した。正常群からは骨粗鬆症治療を受けている人、または受けたことがある人、そしてその原因となる病気にかかったことがある人は除外した。

 アルコール代謝の過程でアセトアルデヒド分解に重要なALDH2遺伝子多型のうち、rs671に着目し、その保有率を骨折群と正常群間で比較した。その結果、骨折群では正常群に比べてrs671保有率が高く、その保有により骨折のリスクが2.48倍高くなることが明らかとなった。ALDH2の機能不全型遺伝子多型では、アセトアルデヒドの血中濃度が上昇することが報告されている。しかし、アセトアルデヒドにより骨芽細胞の機能障害が生じること、そして、アセトアルデヒドによる骨芽細胞の機能障害はビタミンEであるTrolox Cにより回避できることが試験管内の培養で示された。

 今回の調査では、飲酒をすると赤くなると答えた人がALDH2の遺伝子多型を保有する検査の感度と特異度はそれぞれ保有する検査の感度と特異度は80.0%と92.3%だった。これらが高いということは、お酒を飲むと赤くなることとALDH2遺伝子多型を保有することとが一致する確率が高いこと、つまりお酒を飲むと赤くなる人は骨折しやすい体質であること可能性が高いことを示唆しているという。

 今回の研究から、飲酒で顔が赤くなることが、本人や家族など周りの人が骨折のリスクに気づくための分かりやすい指標となることがわかった。これを高齢者の骨折を未然に防ぐ取り組みを講じるきっかけとして、家庭でできる骨折予防へと発展させることが期待されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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