「山の神」柏原竜二が引退発表、27歳の若さも度重なる怪我で

2017年4月5日 07:51

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■柏原引退へ

 箱根駅伝5区で4年連続区間賞を獲得した柏原竜二が現役引退することを発表した。東洋大学から富士通に入部した柏原は将来を有望視されていたが度重なる怪我に泣き思うような成績を残す事ができなかった。初年度の全日本実業団駅伝では6区4位とまずまずの成績を残したものの、期待されていた走りとは言えないものだった。

 もともと満身創痍だったが怪我と戦いながらなんとか走り続けていた。それでもタイムは落ちる一方で2度挑戦したフルマラソンも平凡なタイムに終わってしまった。今後については社業に専念する予定で、運動部のサポート役もかっているようだ。

■柏原の功績

 柏原と言ったら誰もが知っている箱根駅伝のスターだ。恐らく箱根駅伝史上最もインパクトを与えた選手と言っても過言ではないだろう。3年時には「衰えた」と言われていたものの区間賞でゴールし、チームを往路優勝に導いている。紛れもなく「山の神」だった。

 高校ではさほど有名ではなかったものの大学でブレイク。山登りだけが取りざたされているが平地でも速く優勝はできなかったが、4年時の全日本駅伝では駒沢の窪田(当時2年)を猛追し1分以上縮めた。

 ストイックな性格で知られ、東洋大学に在籍する4年時にはキャプテンを任され見事チームを箱根駅伝優勝に導いている。東洋大学を4年間で3度の箱根駅伝優勝に導いたのは、2度は彼の「走力」と言っていいだろう。残りの1度は彼の「求心力」と思っている。東洋大学のレースを見たら人を惹きつける力があり、チームを強くしたのが分かる。

 つまり彼の凄さは選手としてだけでなく、キャプテンシーも挙げられる。「箱根駅伝の柏原」と言われたら可哀想だが、彼の知名度やチームをまとめる力は今後の人生で役に立つだろう。

■今後の柏原に期待

 私の勝手な解釈だが彼は選手として引退するが、陸上を辞めるとは言っていない。そんな彼にはマラソンに限らず陸上競技を盛り上げる役を担ってほしい。登山マラソンやグレートレース(世界の過酷なレース)を楽しみながらやって欲しい。

 アニメ好きと言う彼の特性に陸上を盛り込んで新たなビジネスを展開しても面白い。いずれにせよ柏原は一般人には無いものを持っている27歳の青年だ。一般的に言ったら陸上を止めてもまだ残りの人生は2/3も残っている。

 今後は「楽しむ」事を優先とし陸上活動に携わってほしい。山の神になれた柏原竜二ならなんでもできると思ってしまうのは(プレッシャーではなく尊敬の念を込めて)私だけではないはずである。

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