ついに政府も動き出した 落日のAV業界どうしてこうなった?

2017年3月22日 17:07

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 3月21日、政府は首相官邸において、AV強要問題やJKビジネスなどの、人権侵害問題についての対策会議を開いたことが報じられた。このAV強要問題は、2年ほど前から人権団体HRN(ヒューマンライツナウ)が告発し続けている問題で、女性が意に反したアダルトビデオへの出演を強要され、引退後もその映像が本人の許可なく流通していることに対して警鐘を鳴らし続けていた。昨年から、元タレントの女性やユーチューバーの女性、さらには現役のAV女優からも、その被害の状況の証言があがり、注目を集めていた。

 この動きを受けて、元女優で作家の川奈まり子氏らを中心にしたAVAN(表現者ネットワーク)など、一部からは強要問題を廃絶しつつ、女優や関係者の権利を守ろうとする動きなどもあるのだが、業界全体としての取り組みがしっかりと進まないうちに、ついに国が動き出してしまったという形である。

 しかしながら、そもそもこうした流れになったのは、AV業界そのものが変質してしまったからだ。今から10年くらい前であれば、AV女優になれば、本人が満足できる程度の報酬は手に入り、そこでスカウトが成立するという可能性も高かったが、違法な動画サイトに無料で無修正のAVがアップされ、正規販売のAVの売り上げは、今や危険水域にまで落ち込んでいる。

 スカウトは金で釣ることが難しくなったため、「テレビに出られる」「アイドル活動ができる」といった手段を使うしかなくなってくる。さらに、AVの作品で売り上げが見込めない業界は、女優をイベントで店舗に派遣して、握手会だのチェキをつけるだのといったやり方により、複数枚を買わせるといった手段が恒常化してしまっているの。

 これまでのAV業界は、実は法律的にはアウトでありながら、グレーゾーンでお目こぼしされてきた部分が大きい。本来なら本番(性交)映像だって、逮捕の対象になるものを、モザイクをかけることでうやむやにしてきたわけで、非常に脆弱なところで利益を出していたのである。

 政府は4月までに、対応策を出すべく動くというが、AV業界、そして関係者らが、危機感を持ってなんらかの目に見える対応策を打ち出さない限り、業界そのものが消えてしまう可能性さえありえるのだ。さらに、非合法化すれば、タガが外れた悪徳業者やスカウトマン、事務所などによる今まで以上の強要問題や人権侵害問題が噴出する恐れもなくはないのである。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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