「インテリジェンス」という言葉の本当の意味とは

2017年3月18日 21:00

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 最近、ビジネスマンの間で話題となるキーワードのひとつに「インテリジェンス」という言葉がある。週刊誌の経済記事などでも、有識者の対談などで、頻繁に目にするようにもなった。

 「インテリジェンス」とは、一般には「情報戦略」というニュアンスで用いられていることが多いようだが、元々の意味は、余り知られていない。本来の意味は、英国流の植民地統治支配や国際戦略において重用されてきた「軍事用語」なのだ。

 つまり、国際社会において、国家の安全保障や政治経済の駆け引きを有利に展開するために、相手国の情報を収集し、分析や評価などを行う「諜報活動」を意味しているのである。

 これが転じて、グローバル化や情報化が進む現代社会では、このように積極的に情報を収集し、以降の戦略立案に役立てる手法が企業の経営戦略や個人の目標管理に不可欠であるという観点から、近年、俄かに脚光を浴びるようになってきているのだ。

 しかし、この「インテリジェンス」という言葉は、もともと、軍事用語だっただけに、その実態は、「情報化」や「IT化」などといった生易しいものではない。そもそも、この「諜報」という言葉からして、戦前の日本陸軍参謀本部における「秘密戦」と呼ばれた作戦行動の一部であったことからも、そのニュアンスは把握出来るだろう。

 その作戦行動の最重要ポイントが、隠密裏に情報を収集する行為を意味する「諜報」活動である。いわゆる、スパイ行為そのものと言ってもいいだろう。

 さらに、敵国のスパイを摘発することで情報漏えいを防ぐ「防諜」活動や、そうしたスパイ行為を逆手にとって、敢えて戦略的に情報を流す「宣伝」活動、さらに、偽情報により敵国をかく乱する「謀略」などがあった。

 実際これらのインテリジェンス活動は、現在でも国際社会では水面下で日常茶飯事として行なわれているのであり、表面化しないからこそ、「秘密戦」の「秘密戦」たる所以なのである。
 
 このように、インテリジェンスという言葉の裏の意味も知っておくことは、ビジネス社会上のやりとりにおいても役に立つだろう。(記事:マーヴェリック・記事一覧を見る

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