多様化する世界市場、今求められる投資提携の必要性

2017年3月4日 21:27

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記事提供元:エコノミックニュース

2016年に外務省が在外公館などを通じて実施した「海外進出日系企業実態調査」の結果によると、2015年10月1日時点で海外に進出している日系企業の拠点は7万1129拠点にのぼる

2016年に外務省が在外公館などを通じて実施した「海外進出日系企業実態調査」の結果によると、2015年10月1日時点で海外に進出している日系企業の拠点は7万1129拠点にのぼる[写真拡大]

 2016年に外務省が在外公館などを通じて実施した「海外進出日系企業実態調査」の結果によると、2015年10月1日時点で海外に進出している日系企業の拠点は7万1129拠点にのぼる。前年より2556拠点も増加しており、過去最多を更新した。また、2005年の調査では日系企業の拠点は3万5134拠点だったことを考えると、わずか10年ほどの間に倍に膨れ上がっていることになる。近頃、日本企業のグローバル化という言葉を耳にする機会が増えたが、この数字を見ると納得できる。

 市場規模をみても、先進国独占の時代は過去の話で、今や新興国市場が先進国を上回り、決して無視できないものになっている。先の調査でも、中国が約半数の3万3390拠点を占めており、米国は7849拠点とわずか1割余りに過ぎない。また、インドやタイ、インドネシア、中南米、中近東、東欧、アフリカなどの地域への進出も年々増えている。

 これだけ多様になると、それぞれの地域がもつ独自の文化と市場特性にどれだけ柔軟に対応できるかということも、グローバル化成功への大きなカギとなる。良い製品を送り出すことはもとより、地域の多様なニーズにフレキシブルに応えていかなければならない。そのためには、日本企業も自社だけでなく海外の機関や企業などとも積極的に協業や投資提携を遂行していく必要がある。

 最近の事例で言うと、2月27日に電子部品のロームが、パワーエレクトロニクス市場での60年以上の実績をもち、世界中に生産拠点を有するパワーモジュールのマーケット・リーダー、セミクロン株式会社と、SiCパワーデバイス、モジュールにおける販売協力を開始した。これも質の高い製品開発はもとより、販売協力による付加価値を狙ったものであろう。ロームは2010年に世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始するなど、アプリケーションの省エネ化を実現するSiCパワーデバイスの開発において業界をリードするメーカーとして世界に知られている。一方、セミクロンはあらゆるアプリケーションに対応した豊富なモジュールパッケージのラインアップを取り揃えている。今回の販売協力により、ローム製SiCを搭載したセミクロンのモジュール製品を提案できることで、より市場ニーズにあった最適なパワーソリューションの提供が可能になる。

 中小企業でも、海外との投資提携は盛んに行われており、それにより大きな成功を得ている事例は多い。資本金10百万円、従業員数5名の小規模のベンチャー企業だった株式会社チームスピリット(旧・デジタルコースト)は当初、金融向けのシステム開発・コンサルティング業務を受託していたが、米国で業務用顧客管理ソフトウェアの開発を行う、セールスフォース・ドットコム(以下、SFDC)のプラットフォームにアプリを提供したことを機に投資提携を受け入れ、その後、SFDCの出資企業という信用を最大限に活用して、売り上げと販路を確実に広げている。

 また、大手重電メーカーの富士電機株式会社も、欧米と中国での特許取得数世界一を誇る多国籍コングロマリットのゼネラル・エレクトリック社と投資提携を行い、合弁会社であるGE富士電機メーター株式会社を設立、自社とGE社の知見を活かして日本独自のスマートメーターを開発し、事業へ新規に参入することに成功している。

 協業や投資提携によって、新たな製品開発や、国内外の新規市場の開拓につながる。もちろんメリットばかりではないが、上手くいけば事業を加速する大きな推進力になりえるだろう。日本企業の今後の海外の機関や企業との動きに注目したい。(編集担当:松田渡)

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