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15年度の燃料電池システムの世界市場は1064億円 30年度には46.1倍の4兆9063億円へ
富士経済は、実証から実用・普及への進展、また新たな用途開拓も待たれる燃料電池システムの世界市場を調査した。その結果を報告書「2016年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」にまとめた。
それによると、2015年度の市場は、1,064億円となった。産業・業務用と家庭用の2大用途分野が市場の8割を占める。2013年度と比較すると産業・業務用が3割以上減少したが、その他の用途分野がカバーし、全体的には横ばいとなっているという。日本の家庭用燃料電池も出荷台数が大きくは伸びていない。しかし、2016年度以降はその他の用途分野に含まれるフォークリフトやバスなどの駆動向けが実証段階から実用・普及段階へ移行して北米から欧州に広がり、燃料電池車市場も徐々に本格化し、日本では家庭用燃料電池の普及が進むことで市場は拡大し、2030年度には2015年度比46.1倍の4兆9,063億円が予測されるとしている。
産業・業務用は、商業施設、ビル、工場などに設置される自家発電タイプから、売電を目的とした燃料電池発電所までを対象としている。北米や韓国における大規模な燃料電池発電所プロジェクトが一服したことから、市場は特に2015年度に大きく落ち込んだが、2016年度は回復に向かい、各国におけるRPS(Renewable Portfolio Standard)制度や固定価格買取制度、各種補助金などの政策効果から、2017年度以降は再び拡大推移するとみられるという。
家庭用は、住宅に電力を供給するための燃料電池システムであり、日常的に利用されるものを対象としている。普及は日本が最も進んでおり、市場の94%(金額ベース)を日本が占める(2015年度)。
日本では2016年度以降も導入補助金が継続されることになり、同時に水素・燃料電池戦略ロードマップが改訂(2016年3月)され、目標普及台数として掲げられている2020年に140万台、2030年に530万台を実現するため、PEFCは2019年までに80万円、SOFCは2021年までに100万円(いずれも設置工事費込)といった明確な目標価格(普及価格)が示された。目標価格が達成されれば、普及が大きく進むとみられる。
海外では欧州、アジアは実績があるが、北米は無い。欧州ではドイツが先行するとみられる。ガスと電力の価格差が大きいほど導入メリットが大きいが、ドイツはその価格差が大きい。イギリスも価格差が大きく市場拡大が期待されるとしている。
燃料電池車は、2020年度の世界累計出荷台数が約4万台、以降は日本、北米、欧州、アジアの主要自動車メーカーの燃料電池車がラインアップし、年間数万台のペースで出荷が拡大するとみられる。出荷拡大の時期は、やや遅れ気味ではあるが、2025年から2030年頃になるとみられる。パリ協定の影響によりCO2削減の取り組み強化が急激に進む可能性もあり、その場合は市場が一気に拡大するという。(編集担当:慶尾六郎)
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