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生活習慣病の要因、肥満以外にも筋肉が関係か
近年、アジア人ではBMI25未満でも、糖尿病などの生活習慣病にかかる危険性が高いことが明らかになりつつある。今回の順天堂大学大学院医学研究科・代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村好史准教授らの行った研究でもBMI上で肥満に値しない人も生活習慣病にかかる可能性が裏付けられた。[写真拡大]
日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患の原因となる生活習慣病。厚生労働省が推進する生活習慣病の発症予防・重症化予防に対する指針の柱となる「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、目標とするBMIの範囲(全年代でBMI25未満)を提示し重要視している。BMIの基準値は統計的に見て最も病気にかかりにくい体格指数とされている。ただ近年、アジア人ではBMI25未満でも、糖尿病などの生活習慣病にかかる危険性が高いことが明らかになりつつある。
今回の順天堂大学大学院医学研究科・代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村好史准教授らの行った研究でもBMI上で肥満に値しない人も生活習慣病にかかる可能性が裏付けられた。これによれば、生活習慣病の原因は筋肉に関係しており、血糖や血圧、脂質のうちどれか1つでも異常がある場合は、膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」が筋肉において十分効果を発揮できていない「インスリン抵抗性」の状態にあるとのこと。
同研究では30~50歳の日本人男性でBMI23~25の70人と、BMI21~23の24人、さらには肥満の基準を満たすBMI25~27.5の14人の肝臓と筋肉におけるインスリン抵抗性を測定した。その結果、BMI23~25で肥満の基準を満たしていなくても、血糖や血圧、脂質に1つでも異常がある場合は、メタボリックシンドロームのある肥満男性と同じレベルで筋肉にインスリン抵抗性が認められたとのこと。
さらに筋肉のインスリン抵抗性をもたらす因子について調査したところ、内臓脂肪の多さや体力のなさ、日常的な活動量の少なさ、高脂肪食などが関連していることが判明した。従来から生活習慣病との深い関連が指摘されている脂肪肝では、これに至らなくても少量でも肝臓に蓄積している状態や、蓄積された脂肪は正常範囲内でも肝機能検査の値が少し悪くなっている状態でも、筋肉のインスリン抵抗性に影響を及ぼすという。
生活習慣病の予防がBMIを意識するのみでは不十分だが、ウォーキングやジョギングなど体力向上のための取り組みはいずれにせよ必要になる。厚生労働省の取り組み以外にも民間主導で健康づくりや医療費抑制を進める「日本健康会議」などがあり、市町村、企業の健康保険組合、協会けんぽなどに働きかけて生活習慣病の重症化予防に取り組んでいる。運動を促したり、健診を受けるよう促し生活習慣病を早期発見する取り組みを続けることは、生活習慣病予防にとって効果的なことに変わりないが、BMIの目標とともに筋肉の影響を考慮した啓蒙が期待される。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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