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省エネのキーは産業機器か。大幅な高効率化を実現するSiCデバイス
電子部品大手のロームが開発した、1700V耐圧のSiC-MOSFET「SCT2H12NZ」。高電圧で動作する汎用インバータや製造装置などの産業機器への普及に期待がかかる。[写真拡大]
近年、様々な分野で省エネが謳われている。省エネルギーの基本は言うまでもなく「エネルギーの無駄遣いを排除すること」だ。その方法としては大きく2つのアプローチが考えられるだろう。一つは、節電など、エネルギーの利用者側で意識して、極力無駄遣いを減らしていくこと。そしてもう一つは、エネルギーを消費する機器類側の効率を上げて省電力化を図り、消費電力を徹底的に削減していくことだ。とくに大きな電力を使用する産業機器では、省電力化は急務となっている。
産業機器の省電力化においてカギを握るのはパワーデバイスだが、省エネ意識の高まりとともに、これまで主力で用いられてきたSi(シリコン)製のパワーデバイスよりもエネルギーロスの少ないSiC(炭化ケイ素:シリコン・カーバイド)製のパワーデバイスへの注目が高まっている。SiCを使用する最大のメリットは、デバイスに電流が流れている際に デバイスの抵抗成分によって発生する導通損失を大幅に削減できること、そして、スイッチ動作のたびに発生するスイッチング損失も抑えることができる点だ。また熱伝導性や耐熱性などにも優れているという特長もある。
そんな中、電子部品大手のローム株式会社<6963>は、高電圧で動作する汎用インバータや製造装置などの産業機器に最適な1700V耐圧のSiC-MOSFET「SCT2H12NZ」を開発した。同製品は、既存のSi-MOSFETと比較して、導通損失がなんと8分の1に低減されており、機器の省電力化に大きく貢献することが期待されているという。さらに同社のSiC-MOSFET駆動用AC/DCコンバータ制御IC「BD7682FJ-LB」と組み合わせることで、最大 6%という劇的な高効率化と大幅な損失低減による周辺部品の小型化も目指すことが可能だという。
これまでのSi-MOSFETでは、耐圧1000V以上になると導通損失が大きいため、発熱も大きくなり、周辺部品点数や実装面積にも課題があった。今回、ロームが1700V耐圧のSiC-MOSFETを開発したことでこの課題が一気に解決される。また、同製品は 2016年1月より量産を開始しているが、4月からは駆動用制御 IC「BD7682FJ-LB」と評価ボード 「BD7682FJ-LB-EVK-402」のインターネット販売も開始したという。これをきっかけに、SiCデバイスの普及が進み、産業機器のさらなる小型化、高効率化が進み、省エネに貢献することが期待できるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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