ケプラー宇宙望遠鏡、緊急モードを脱して安定状態に

2016年4月14日 16:26

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記事提供元:スラド

headless 曰く、 7日に緊急モード(Emergency Mode: EM)への移行が確認されたケプラー宇宙望遠鏡だが、10日朝までにNASAが復旧に成功し、現在は安定した状態になっているそうだ(NASA — Kepler and K2VergeArs Technica)。

 EMは最小限の運用モードで、燃料消費も通常より大きくなるという。ケプラーは地球からおよそ1億2千km離れた位置にあり、光の速度でも往復に13分ほどを要するため、通信には長い時間がかかる。NASAの技術者は週末を通じて復旧に努めたそうだ。現在、ケプラーの通信アンテナは地球に向けられ、テレメトリーおよび過去のイベントデータが地上にダウンロードされている。また、ケプラーは最も燃料消費が低いモードで運用されているとのことだ。

 3月23日に前回の研究活動を終えたケプラーは地球との通信を継続しつつリアクションホイールを停止し、省エネルギーモードで運用するPoint Rest State(PRS)に移行。8日から銀河系の中心に向けて系外惑星を探索する「Campaign 9」の開始を予定していた。

 4日の定期的な通信で異常は見られなかったが、ケプラーの向きを銀河系の中心へ向ける予定時刻のおよそ14時間前にEMへ移行していたという。そのため、NASAでは方向転換やリアクションホイールをEM移行の原因から除外している。観測機能の復旧を優先しつつ並行して原因の調査を行うとのこと。Campaign 9はケプラーが銀河系の中心を観測可能な位置から外れる7月1日に終了する。

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