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10月の「チャイナリスク」関連倒産は11件 15年累計では63件に
東京商工リサーチは、2015年10月の「チャイナリスク」関連倒産調査の結果を発表した。それによると、10月の「チャイナリスク」関連倒産は、集計開始以来で最多タイとなる11件だった。2015年1月~10月の累計件数は63件となり、前年同期の41件から5割増加した。
単月の業種別では、「繊維・衣服等卸売業」が3件、「繊維工業」が1件、「繊維・衣服・身の回り品小売業」が1件でアパレル関連業種の倒産が5件発生した。累計ではこれら3業種に「なめし革・同製品・毛皮製造業」を加えた倒産が26件に及んでおり、チャイナリスクはアパレル関連の業種を直撃しているとしている。
一方、10月の負債総額は60億9,800万円で、1月~10月の累計は2,250億100万円となった。9月に第一中央汽船が1,196億700万円の負債を抱え民事再生法の適用を申請した影響により、前年同期(2014年1-10月)の138億2,400万円から負債総額は大幅に増加している。10月は倒産には集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は1件発生(前年同月ゼロ)。両者を合算したチャイナリスク関連破綻は12件で、2015年9月の13件に次ぐ水準となったとしている。
2015年1月~10月の主な事例としては、アイリスがある。同社は下着製造で発展し、1988年より中国の上海や広東、天津に生産拠点を開設。1991年には上海アイリス製衣有限公司を設立して中国での生産を本格化させ、1995年8月期には通販業者向けの販売が寄与しピークとなる売上高34億9,363万円を計上した。その後、通販業者向け受注の落ち込みから減収傾向で推移し利益面も苦戦。さらに、近年の中国での人件費の上昇を受けて生産コストが高騰し、経費の吸収が困難になってきたため中国からの撤退を試みていたが、経営環境の急激な悪化に耐え切れず、2015年10月に破産開始決定を受けた。
また、ジィーティー・インターナショナルは、婦人服・紳士服など衣料品全般を扱い、主に中国で縫製加工を手掛け、日本のアパレル業者などへ販売し、2011年3月期には売上高約1億円を計上していた。しかし、市況の低迷から2012年3月期には売上高が6,385万円へ下落し、2014年には数百万円の焦付が発生。さらに、中国で縫製する製品の品質不良からクレームが発生し売上高が低下。このため資金繰りも限界に達し、2015年10月に破産開始決定を受けた。
2014年1月の集計開始後、2カ月連続で10件を超えたのは初めてであるという。負債額別では、1億円以上が7件(内訳:10億円以上2件、5億円以上10億円未満1件、1億円以上5億円未満4件)と全体の6割以上を占めている。同月の倒産全体は、負債総額1億円未満の構成比が7割(742件中522件)と小規模零細企業に偏っているのと対照的な状況であるとしている。
産業別では、小売業の倒産が3件発生した。1月~9月の発生は2件のみで、10月は急増したことになる。10月発生の3件は、いずれも人件費高騰や為替変動による調達コストの上昇が要因となっている。人件費の高騰などにより中国からの調達コストは引き続き上昇しており、依然としてコスト高は沈静化しておらず、当面「コスト高」を要因とした倒産が減少するとは考えにくい。このため、チャイナリスク関連倒産は、今後も月10件以上の高水準が続くとみられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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