「シグナス」補給船運用4号機、ケネディ宇宙センターへ 12月打ち上げに向け準備

2015年10月15日 20:57

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記事提供元:sorae.jp

「シグナス」補給船運用4号機、ケネディ宇宙センターへ 12月打ち上げに向け準備(Image Credit: Orbital ATK)

「シグナス」補給船運用4号機、ケネディ宇宙センターへ 12月打ち上げに向け準備(Image Credit: Orbital ATK)[写真拡大]

 米国のオービタルATK社で2015年10月12日、「シグナス」補給船運用4号機(OA-4)のサーヴィス・モジュールが、打ち上げ基地に隣接する米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターに向けて出荷された。

 その後、サーヴィス・モジュールは14日に無事、ケネディ宇宙センターに到着。今年12月に予定されている打ち上げに向け、機体の組み立てが始まる。

 シグナスは米国のオービタルATK社(旧オービタル・サイエンシズ社)が開発した無人の補給船で、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届けることを目的としている。

 この日到着したサーヴィス・モジュールは、スラスター(小型のロケット・エンジン)や太陽電池、バッテリーなどが収められた部分で、その前部に「与圧貨物モジュール」(Pressurized Cargo Module)と呼ばれる、物資を搭載するコンテナが結合される。

 与圧貨物モジュールの内部は1気圧の空気で満たされており、国際宇宙ステーション(ISS)に結合したあとは、宇宙飛行士が中に入って物資を運び出すことができるようになっている。同モジュールはすでに8月11日にケネディ宇宙センターに到着し、打ち上げに向けた準備が進められ、サーヴィス・モジュールが到着するのを待っていた。

 シグナス全体やサーヴィス・モジュールはオービタルATK社が開発したが、与圧貨物モジュールは欧州のタレス・アレーニア・スペース社が製造している。同社はスペース・シャトルに搭載にされていた与圧コンテナの「多目的補給モジュール」も開発、製造した実績があり、その技術が活かされている。

 シグナスはこれまでに4機(注1)が打ち上げられているが、今回のミッションから「改良型シグナス」(Enhanced Cygnus)となる。改良型では機体の全長が長くなり、物資の搭載量も、従来型の2トンから、最大3.5トンにまで増えている。

 またそれに合わせ、サーヴィス・モジュールも大型の円形太陽電池パドルが搭載されるなど、改良が施されている。

 現在のところ、シグナスOA-4の打ち上げは今年の12月に予定されている。

 なお、シグナスを打ち上げる「アンタレス」ロケットは前号機で失敗し、現在改良が行われている最中にあるため、打ち上げにはユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社の「アトラスV」ロケットが使われる。アトラスVはアンタレスよりも打ち上げ能力が大きいため、改良型シグナスの最大積載量である、3.5トンいっぱいまでの補給物資を運ぶことができる。

 また今年8月12日には、アトラスVによる2機目のシグナスの打ち上げが行われることも発表されている。この2機目は2016年に打ち上げられることが計画されている

 オービタルATK社はまた、前回の打ち上げ失敗の原因と考えられているロケット・エンジンを、別の新しいエンジンに換装した改良型アンタレスの開発も進めている。新エンジンの燃焼試験は今年末から来年初めごろに、初打ち上げは2016年に実施するとしている。

注1: 実証ミッション1回、NASAとの契約に基づく商業補給ミッション3回の計4回。なお、シグナス通算4号機(商業補給ミッションの3号機)は、ロケットの打ち上げ失敗で失われている。

■Shipping of Cygnus Service Module Marks Key Milestone for OA-4 Mission
https://www.orbitalatk.com/news-room/feature-stories/OA4SMShipment/default.aspx

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