「転勤するくらいなら辞める」会社員の3割 「限定正社員」ニーズは高まるか

2015年10月12日 11:04

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記事提供元:エコノミックニュース

 「限定正社員」「エリア限定正社員」を導入する企業が増えている。ユニクロやIKEAなどが、転勤のない正社員枠を設けて人材確保に成功したケースは有名だ。背景には深刻な人手不足と、育児や介護などで転勤ができない人が増えていることも関係している。

 アイデムの『平成27年版パートタイマー白書』によると、正社員男性の24.7%、正社員女性の48.2%が、転居をともなう転勤について「異動の辞令を断り、退職する」と回答した。一方、企業に対し「正社員とパート・アルバイトの年代別の過不足感」を尋ねた結果では、正社員、パート・アルバイトとも20~30代に対する不足感が突出して高い。特に正社員では、過半数の企業が「若手が足りない」と答えている。こうした現状下で、課題として最も多く挙がったのは「女性の活用(43.8%)」。次いで「新卒採用(40.2%)」「中途採用(40.2%)」「正社員の定着(28.1%)」「高齢者の活用(27.8%)」だった。若年層や女性の退職を防ぎ、活躍してもらおうという企業が多い(白書の調査対象は、企業1178社と、社会人1814名)。

 こうした中、正社員と非正規社員の「中間的な働き方=限定正社員」を模索する企業も現れ始めた。限定正社員は、これまでの正社員よりも労働条件が免除される代わり、賃金が大きく上昇する見込みは少ない。ただし「正社員」なので、パートやアルバイトよりも雇用は安定している。

 白書では、「限定正社員に該当する従業員がいる」企業は33.4%と、3社に1社に達した。一方、「限定正社員に該当する従業員はおらず、会社のしくみ・制度上も不可能であり、導入に興味もない」も37.4%と、企業の考えは分かれている。業種や職種にもよるのだろう。

 働く人に尋ねた結果では、全体の約4割が「限定正社員」について知っていた。特筆すべきは、正社員で働く女性の45%が「勤務地限定正社員で働きたい」と回答している点である。将来のキャリアとして「限定正社員」を考える女性は、かなり多そうだ。

 「アイデム人と仕事研究所」の小杉雅和氏は、限定正社員には課題もあるとしつつ、「正社員と同等の能力や就労意識を有するにもかかわらず、何らかの事情で『無限定』では働けない潜在的な労働力を、新たな労働力として確保できる可能性を秘めている」とコメントしている。(編集担当:北条かや)

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