ブルー・オリジン社、「BE-4」エンジンの開発試験が100回を超えたと発表

2015年10月6日 07:59

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記事提供元:sorae.jp

ブルー・オリジン社、「BE-4」エンジンの開発試験が100回を超えたと発表(Image Credit: Blue Origin)

ブルー・オリジン社、「BE-4」エンジンの開発試験が100回を超えたと発表(Image Credit: Blue Origin)[写真拡大]

 ブルー・オリジン社は2015年9月30日、開発中の大型ロケット・エンジン「BE-4」が、100回を超える開発試験を完了したと発表した。BE-4エンジンは同社が開発するロケットのほか、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社の次世代ロケット「ヴァルカン」にも採用されることになっている。

 発表によると、試験はテキサス州の西にある同社の試験施設でおこなわれ、ターボ・ポンプを動かす駆動ガスを作り出すプリバーナーと、推進剤を使って冷却する再生冷却式の燃焼室、燃焼室に推進剤を噴射する噴射器(インジェクター)といった部品を組み合わせておこなわれた。

 プリバーナーと燃焼室は実機サイズではなく、またノズルも付いておらず、実際に飛行するエンジンとは異なる。ULA社のトリー・ブルーノCEOによると、これはあくまで部品の試験であるとしており、フル・スケールかつ、すべての部品が組み合わさった、完成品の状態での試験は来年の秋ごろに予定しているという。

 ブルー・オリジン社は、ネット通販大手のAmazon.comを設立したジェフ・ベゾス氏によって、2000年に立ち上げられたヴェンチャー企業で、ロケット・エンジンや宇宙船の開発などを手掛けている。BE-4の開発は、2014年9月に突如として発表され、大きな衝撃を与えた。

 BE-4は液化天然ガスと液体酸素を推進剤とし、海面上推力は550,000lbf(約2.45MN)と、ひじょうに強力なパワーを叩き出す。また液化天然ガスはケロシンなど他の燃料と比べて、ヘリウムによるタンク加圧系統が不要で、また低コストという特長がある。

 さらに爆発などの危険性が低いため、操作性や安全性が高く、さらにススが発生しにくいため、エンジンを再使用することにも向いている。実際、ヴァルカンもエンジン部分を再使用することが検討されており、また同社の独自のロケットも再使用することが計画されている。

 BE-4は、米国の基幹ロケット「アトラスV」と「デルタIV」の後継機である「ヴァルカン」の第1段エンジンに使われることが見込まれている。特にアトラスVの第1段には、ロシア製の「RD-180」エンジンが使われているが、昨今の米露関係の悪化により、ロシアからエンジンを購入できなくなる可能性が持ち上がり、米国内でもロシアに依存することへの懸念が出ていた。

 こうした状況を受けて、ULA社は2014年6月に、RD-180に代わる新しい米国製エンジンを開発する検討をはじめ、その結果ブルー・オリジン社のBE-4が選ばれた。

 BE-4はまた、ブルー・オリジン社が独自に開発するロケットの第1段に使うことも計画されている。

■Blue Origin | Blue Origin Completes More Than 100 Staged-Combustion Tests in Development of BE-4 Engine
https://www.blueorigin.com/news/news/blue-origin-completes-more-than-100-staged-combustion-tests-in-development

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