民間宇宙船「スペースシップツー」の2号機、建造着々 年末の完成目指す

2015年8月10日 12:45

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記事提供元:sorae.jp

民間宇宙船「スペースシップツー」の2号機、建造着々 年末の完成目指す(Image Credit: Virgin Galactic)

民間宇宙船「スペースシップツー」の2号機、建造着々 年末の完成目指す(Image Credit: Virgin Galactic)[写真拡大]

 ヴァージン・ギャラクティック社は8月7日、建造中の民間宇宙船「スペースシップツー」の2号機の画像を公開した。

 この写真は前日の6日に撮影されたもので、まだ機体は未完成ながら、同機を上空まで運ぶ母機「ホワイトナイトツー」の翼下に吊るされ、試験や製造が進んでいる様子が示されている。

 スペースシップツーは、スケールド・コンポジッツ社によって開発されている民間の宇宙船で、スペース・シャトルのように地球を回る軌道には乗らないものの、一般的に宇宙とされている高度100kmまで達することができる。宇宙空間に滞在できる時間は数分ではあるが、青い地球や黒い空を眺めることができ、また自由落下時に無重量状態を体験することもできる。

 現在、いくつかの会社によってサブオービタル宇宙船の開発が行われているが、その中でもスペースシップツーは最も実現に近いと目されていた。しかし、2014年10月31日に1号機「VSSエンタープライズ」が試験飛行中に墜落し、搭乗していた2人の乗員のうち1人が死亡する事故が起きた。事故を調査していた国家運輸安全委員会(NTSB)は今年7月28日、設計時の安全対策の不足と操縦士のヒューマン・エラーが原因であるとする調査結果をまとめている。

 スペースシップツーの2号機は2012年から建造が進められており、完成後はヴァージン・ギャラクティック社によって、VSSエンタープライズと共に宇宙旅行に使われるはずだったが、VSSエンタープライズが失われたため、現在同社にとって唯一の機体となっている。今後、試験が再開されれば、同機が主にその任を務めることになり、また宇宙旅行事業が開始された際には、同機がその1番機を務めることになる。なお、3号機以降の建造計画は不明である。

 2号機の現在までの完成度は75%以上で、5月21日には支持具を使わず、着陸脚を使って自立することに成功するなど、順調に製造が続けられている。また1号機の事故の再発防止など、安全機構なども大きく改良されるという。米国メディアの報道によると、スケールド・コンポジッツ社では今年の年末までに完成させ、試験に入りたい考えだという。

 ヴァージン・ギャラクティック社は「まだ多くの作業が残っていますが、私たちは宇宙というフロンティアを切り拓くため、着実に前進を続けています」とコメントしている。

 以前、この2号機は「VSSヴォイジャー」という名前が付けられていた。これはSF作品「スター・トレック: ヴォイジャー」に登場する宇宙船「USSヴォイジャー」にちなんで名付けられたもので、1号機の「VSSエンタープライズ」もまた、スター・トレックに登場する伝説的な宇宙船「エンタープライズ」にちなんでいる。

 しかし、現在では何らかの事情で使われておらず、公式には単に2号機(The Second SpaceShipTwo)、もしくは機体番号の「N202VG」とのみ呼ばれている。

■Virgin Galactic - タイムラインの写真
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