中国中鉄、ロシアの高速鉄道プロジェクト落札、同社の海外輸出第1弾

2015年5月31日 10:26

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記事提供元:エコノミックニュース

 中国中鉄傘下の中国中鉄二院工程集団とロシア企業との連合体が、モスクワ―カザン間の高速鉄道プロジェクトを落札した。中国中鉄が5月12日に発表した。

 中国中鉄の海外輸出第1弾となるプロジェクトで、事業費は1兆683億ルーブル(約2兆5000億円)と推定されている。2018年のFIFAワールドカップ開催までに工事が完了する見込み。

 プロジェクトの全長は770キロメートル、最高設計速度は時速400キロメートル。中鉄二院の朱穎総経理は、「中国鉄道産業の海外進出プロジェクトにおける最速の鉄道です」と強調している。完成すれば、列車でのモスクワ・カザン間の所要時間が、現在の14時間から3時間30分に短縮される。20年の旅客輸送量はのべ1050万人に達すると予測されている。

 対象となる鉄道の大部分は、海抜の高い寒冷な地域に位置しているが、中国はこうした気候的に厳しい地域でも実績を積んできた。12年12月には、世界で初めて高緯度・寒冷地域を運行する高速鉄道・哈大高速鉄道(ハルビン―大連間)が運行を開始している。

 モスクワ―カザン高速鉄道は、08年11月にロシアが発表した「2030年運輸発展戦略計画」の一部で、将来はエカテリンブルグまで繋がる見通し。

 中国中鉄は鉄道関連のインフラ工事のほか、不動産開発や建機・関連部品の製造も手がけている。11年の高速鉄道事故を受け、同年夏から鉄道関連の新規事業が抑制されていたが、12年後半から再び拡大基調に入った。

 今回のプロジェクト受注は、中国政府が推進する鉄道外交の成果でもある。13年秋以降、李克強首相はタイ、オーストラリア、中東欧、アフリカ、英国、米国など22カ国を訪問し、各国で鉄道外交を繰り広げてきた。中国国内では、その効果が高く喧伝されている。例えば『中華鉄道網』(5月15日)は、「ピンポン外交」や「パンダ外交」に続き、高速鉄道は中国にとっての外交手段の1つになったと論じた。

 中国は、学術界を通じた鉄道の売り込みも活発化させている。5月には、北京交通大学がロシアの大学2校とともに「中ロ高速鉄道研究センター」を立ち上げる合意文書に署名した。国を挙げて鉄道輸出を推し進める中国の動きがますます活発になりそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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