スペースX社、5月5日に「ドラゴンV2」宇宙船の緊急脱出システムの試験を実施

2015年4月23日 10:00

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記事提供元:sorae.jp

スペースX社、5月5日に「ドラゴンV2」宇宙船の緊急脱出システムの試験を実施(Image credit: SpaceX)

スペースX社、5月5日に「ドラゴンV2」宇宙船の緊急脱出システムの試験を実施(Image credit: SpaceX)[写真拡大]

 米航空宇宙局(NASA)は米国時間4月21日、スペースX社が開発している有人宇宙船「ドラゴンV2」の「パッド・アボート・テスト」が5月5日に実施されると発表した。

 ドラゴンV2は、現在スペースX社が運用しているドラゴン補給船を基に開発が行われている有人宇宙船で、2017年ごろにも、実際に宇宙飛行士を乗せた有人飛行の実施が行われることが予定されている。

 パッド・アボート・テストは、ドラゴンV2に装備された緊急脱出システムが設計通り機能するかを試験するために実施される。緊急脱出システムは小型のロケットを持ち、宇宙船を載せたロケットが発射台(パッド)の上で爆発しそうになったり、飛行中にエンジンが止まるなどといった問題が発生したりした際に、乗組員の命を守るため、宇宙船のみをロケットから引き剥がす役目を持つ。

 アポロ宇宙船やソユーズ宇宙船では宇宙船の先端に塔のような形をした脱出システムを装着するが、ドラゴンV2では宇宙船自体に装備されたスラスターを使う。このスラスターは「スーパードレイコー」と名付けられており、ドラゴンV2の側面に全8基が装備され、緊急脱出だけではなく、宇宙船が陸上へ着陸する際の噴射でも用いられる。

 試験はフロリダ州ケープ・カナヴェラル空軍基地の第40発射台で行わる。今回の試験は発射台上での脱出を模したものであるが、ロケットは実機のファルコン9ではなく、ロケットを模したトラス構造の台の上に宇宙船を据え付ける形になるという。

 試験に用いられるドラゴンV2はほぼ本番同様の質量や機能を持つ。船内には加速度などを計測する各種センサーのほか、自動車の衝突試験などでおなじみのダミー人形も搭載される。

 試験は米東部夏時間2015年5月5日9時30分(日本時間2015年5月5日22時30分)に実施される予定で、打ち上げ可能時間帯は4時間が確保されている。また5日に実施できなかった場合は翌6日にも試みられる。発射台上から飛び上がった宇宙船は、上空でパラシュートを開き降下、大西洋上に着水する予定だ。

 また今年の夏ごろには、飛行中のファルコン9ロケットから脱出する試験も実施されることになっている。

 これらの試験を経た後、スペースX社では2017年後半にも、4人の宇宙飛行士を乗せ、国際宇宙ステーションに向けて打ち上げたいとしている。

■SpaceX Commercial Crew Pad Abort Test Coverage and Credentialing Details | Commercial Crew Program
https://blogs.nasa.gov/commercialcrew/2015/04/21/spacex-commercial-crew-pad-abort-test-coverage-and-credentialing-details/

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