【小倉正男の経済羅針盤】ユーロ金融危機の再燃はあるか

2014年10月27日 10:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■ドイツ――南欧諸国の構造改革が最優先事項

 ユーロ圏経済に失速の懸念が再燃している。

 ウクライナ危機でドイツ経済が減速――。ドイツ経済は、ユーロ安の恩恵を受けてきた。だが、ロシアへの経済制裁などが響いており、さすがに成長鈍化が避けられない様相に追い込まれている。

 アメリカは、ドイツがユーロ圏経済を牽引する需要拡大策を採ることを期待している。 しかし、いまのところドイツは大判振る舞いをする気など一切ない、というスタンスを崩していない。

 ドイツとしては、南ヨーロッパ諸国の構造改革こそが、ユーロ圏経済再生への不可避事項であるという立場だ。(日本の「金融危機」でも同様だったが)構造調整は、辛気臭い仕事で時間も膨大にかかる。しかし、避けては通ることはできない。

――ユーロ諸国は、とりわけ南ヨーロッパ諸国は、あくまで緊縮財政を継続し、構造改革を優先する必要がある。それを緩めてしまっては、ユーロ圏経済が抱える問題の根本的な解決にはならない――。

■「債務危機」が金融システムの危機に拡大

 ユーロ圏経済は、2010年の「ソブリン・ショック」(債務危機)から底入れを果たし、立ち直りを期待されていた。

 ソブリン債とは端的にいえば国債のことだ。2009年に隠蔽されていたギリシアの財政赤字が露呈したのが端緒だった。ギリシア国債は大暴落――。ポルトガル、スペイン、イタリアなどの国債にも不安が飛び火し、ユーロ圏全体が「債務危機」の連鎖に陥った。

 仮にギリシア国債がデフォルト(債務不履行)になれば、それを買い込んでいるイタリア、フランス、あるいはドイツなどの銀行が倒産の危機に見舞われる。「債務危機」が、ユーロ圏経済全体の金融システムの危機に広がることになりかねない――。

 こうなると、国も銀行も同じことで、緊縮財政で財務(赤字)を削減し、欧州中央銀行(ECB)がからんで膨大な融資支援を行い、資本増強するしか手はない。

■ユーロ圏の金融システムに危機再燃の懸念

 ユーロ圏は、金融システムの再生に取り組んできたわけだし、「債務危機」は、一応、終了とみられていた。

 しかし、ユーロ圏の金融システムは、まだまだ再生途上ということになるのだろうか。ユーロ圏の景気が低下すれば、金融危機の不安をぶり返しかねないところがある。

 ドイツの景気が減速ということになれば――、再生途上にあるというか、再生がそれほど進んでいない南ヨーロッパ諸国、すなわちギリシア、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの金融システムにも不安が燻りかねない。

 この先、金融システム不安が再燃すれば、欧州中央銀行(ECB)が国債買い入れなど「量的金融緩和」に進むのではないかという観測も出ている。 あまり考えたくはないのだが、新年にかけてユーロ圏が世界経済を揺るがす局面も想定する必要があるのではないか。

(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所刊)など著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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