関連記事
国立天文台、銀河同士の衝突で円盤銀河が作られる様子を観測することに成功
円盤銀河と楕円銀河の例。すばる望遠鏡で撮影されたアンドロメダ銀河(左)は代表的な円盤銀河。中央部に星が球状に密集した「バルジ」部とそれを取り巻く円盤部がよくわかる。一方、欧州南天天文台VLTで撮影されたNGC 1316銀河(右)は円盤構造の無い楕円銀河の一例(Credit: 上坂浩光/HSC Project/国立天文台/ESO )[写真拡大]
国立天文台の植田準子氏らによる研究グループは、電波望遠鏡による銀河衝突観測によって、ガスの円盤構造が作られていく様子を捉えることに成功した。
銀河には円盤銀河と楕円銀河があり、1970年代頃からおこなわれてきたシミュレーションでは同程度の質量を持つ銀河同士が衝突すると楕円銀河が作られると予測されていたが、最近のシミュレーションでは円盤銀河も作られる可能性があることも示されている。
今回の研究では、アルマ望遠鏡などを用いて37個の衝突の最終段階にある銀河を調べたところ、24個の衝突銀河で分子ガスが円盤状に回転していることが分かった。さらに、11の天体では銀河の中心部に密集した星の集団よりも分子ガスの円盤の広がりの方が大きくなっており、中には天の川銀河の円盤に匹敵する大きさのガス円盤を持つ銀河も発見された。
研究メンバーは、「もし今回観測で得られたものと同様の現象が遠方の宇宙でも起こっていたとすると、遠方の宇宙に存在する円盤銀河の構造は、大昔に経験した銀河衝突によって形成されたものかもしれません。この研究は、近傍の宇宙だけでなく遠方の宇宙における銀河の形成を理解する上でも重要な意義があります」とコメントしている。
■2つの銀河の衝突から円盤を持つ銀河が作られる様子を模式的に表したCG映像
スポンサードリンク