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アメリカで「ドラえもん」の放映が開始 長らくタブーだった理由とは?
今夏からアメリカで「ドラえもん」の放送が始まる。「ドラえもん」はこれまでアジアや欧州などの世界35カ国で放送されている。90年代からはイスラムの国々や、中南米でも受け入れられ、今や全世界で親しまれているアニメだと言えるが、どういうわけか、アメリカ上陸だけは難航していた。そしてようやく今回の放映を実現させたのは、ウォルト・ディズニー・カンパニーだ。全米7,800万世帯が視聴することができるケーブル・チャンネル「ディズニーXD」で8月から放映がスタートする。
アメリカでドラえもんを放映するにあたり、いくつか改編されていることがある。アメリカの視聴者の生活習慣に馴染むように、食事シーンでは箸ではなくフォークを使い、お金もドル紙幣で表現されている。また、のび太は「ノビー」、しずかちゃんは「スー」、スネ夫は「スニーチ」、出来杉くんは「エース」となり、ジャイアンは「ぼんやりした、遅い」などの意味に重なるため、「ビッグG」と変更されている。
そして、登場人物たちの名前だけでなく、教育的倫理観念上の改編も受けている。例えば、健康的な食習慣を推進させるという意図により、どら焼きをドカ食いするシーンは短縮されるなどしている。また、独立精神を尊重するアメリカ的価値観を反映する形で、しずかちゃんは活発で力強いキャラクターとして描かれる。
米国在住の作家・翻訳家の冷泉彰彦氏は、アメリカ社会には子どもに与える情報について「善悪の価値観」を優先させる極めて保守的な傾向があり、それがドラえもんのアメリカ進出を30年遅らせたと述べている。いじめられっ子のび太が自分の力で困難を克服するというよりも、ドラえもんの万能道具で解決を試みようとする点や、のび太の母親の登場シーンは愛情表現よりも叱る姿の方が多いということ、そして女の子らしさを強調するようなしずかちゃんの存在感は、ジェンダーへの偏った意識を感じさせるという。さてアメリカの子ども達の目にはどう映るのだろうか。(編集担当:久保田雄城)
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