【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】材料難で様子見ムード継続、米国株を睨みながら一進一退

2014年7月13日 14:03

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(14日~18日)

■日銀会合は波乱なく通過の可能性

  7月14日~18日の株式・為替相場については、引き続き様子見ムードが強く、米国株の動向を睨みながら一進一退の展開だろう。消費増税の影響に対する警戒感が後退し、公的資金の買いが安心感に繋がる流れに変化はないが、7月下旬から始まる主要企業の4~6月期業績発表を控えて手掛かり材料難の状況が続く。14日~15日の日銀金融政策決定会合が当面の焦点だが、追加緩和期待がほぼ消滅した状況だけに波乱なく通過しそうだ。

  株式市場では、小売セクターを中心とする個別企業の月次売上動向や、2月決算企業の3~5月期の好業績などで、消費増税の影響は軽微との安心感が広がっている。また年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によるリスク資産運用比率引き上げが期待される状況にも変化はない。さらに前週は、日経平均株価が1年8ヶ月ぶりに5営業日続落(7日~11日)となったが、日銀による4営業日連続(8日~11日)のETF買いも下値を支える要因となった。

  ただし下値が限定的とはいえ、一方では積極的に主力株の上値を追う材料にも欠け、全体として様子見ムードが強い状況だ。東証1部市場の売買代金は2兆円割れの水準が続いて盛り上がりに欠ける。そして日経平均株価は11日の終値で25日移動平均線を割り込んだ。5月21日以来の25日移動平均線割れであり、目先的には調整色を意識させる形だろう。

  海外要因としては16日の中国4~6月期GDPが当面の材料だが、中国景気に対する期待感は後退しているだけに、全体として影響は限定的だろう。また前週末11日の米国株は反発したが小動きだった。ダウ工業株30種平均株価が7月3日に史上初めて1万7000ドル台に乗せたが、その後は高値警戒感も強めているようだ。そしてCME日経225先物(円建て)も小動きで終値は1万5175円だった。

  米国株も当面は主要企業の4~6月期業績発表を睨みながらの動きであり、日本株も全体としては米国株の動向を睨みながらの展開だろう。主力株への本格的な資金流入は、7月下旬から発表が始まる3月決算企業の第1四半期(4~6月)業績や、8月13日の日本4~6月期GDP1次速報の確認待ちとなりそうだ。

  また東証マザーズ指数は10日の終値で900台を割り込んだが、日経ジャスダック平均は8日に07年2月以来の2200台に乗せるなど堅調な動きが続いている。前週後半には新興市場の主力株に再動意の兆しも見せ始めた。東証1部市場の主力株に対しては様子見ムードを強める可能性が高いだけに、引き続き中小型株・テーマ株物色で、ネット・ゲーム・LINE関連、格安スマホ・SIMカード・仮想移動体通信事業者(MVNO)関連、ロボット関連、新燃料・新エネルギー関連、燃料電池・水素ステーション関連、原子力関連、次世代2次電池関連、バイオ関連、さらに電線などの低位材料株などが日替わりで注目されそうだ。

  為替はややドル安・円高、ユーロ安・円高方向に傾いた。米10年債利回りが2.5%台に低下し、10日にはポルトガルの大手銀行BESの財務の健全性に対する不安が表面化したことでリスク回避の円買いの動きが強まった。そして10日には1ドル=101円07銭まで円が買われる場面があった。ただし11日には欧州金融不安が後退し、米国市場で終盤は1ドル=101円40銭近辺、1ユーロ=137円90銭近辺だった。

  米6月雇用統計が市場予想を上回る強い結果だったことで、米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げ時期を前倒しするとの見方も一部にあるようだが、債券市場の動きを見る限りでは早期利上げ観測は高まっていないようだ。当面は15日~16日のイエレン米FRB議長の議会証言(15日上院、16日下院)が焦点だが、緩和的な金融政策の継続を示唆する発言などで米10年債利回りが上昇しにくい状況であり、ドル・円相場は1ドル=101円台~102円台、ユーロ・円相場は1ユーロ=137円台~139円台で引き続き膠着感の強い展開だろう。

  その他の注目スケジュールとしては、15日の独ZEW景気期待指数、米6月小売売上高、米7月NY州連銀製造業業況指数、15日~16日のBRICSサミット、16日の中国6月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、米6月鉱工業生産・設備稼働率、米7月住宅建設業者指数、米地区連銀経済報告、17日の米6月住宅着工件数、米7月フィラデルフィア地区連銀業況指数、ブラジル中銀金融政策決定会合、18日の中国6月新築住宅価格、ユーロ圏5月経常収支、米6月コンファレンス・ボード景気先行指数、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。

  その後は7月29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、30日の米4~6月期GDP速報値、8月1日の米7月雇用統計、7日のECB(欧州中央銀行)理事会と記者会見、13日の日本4~6月期GDP1次速報などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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