世界初、アルマ望遠鏡でガンマ線バーストの発生環境を観測

2014年6月17日 15:39

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ガンマ線バーストの周辺環境(想像図)(国立天文台)

ガンマ線バーストの周辺環境(想像図)(国立天文台)[写真拡大]

  • GRB 020819Bの母銀河の観測結果。左と中央はアルマ望遠鏡による観測結果で、分子ガスが放つ電波の強度分布(左)と塵が放つ電波の強度分布(中央)の図。右はジェミニ北望遠鏡による可視光観測画像。画像中央上にある十字がガンマ線バーストの発生位置を示している(廿日出文洋(国立天文台)/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/Gemini Observatory)

 国立天文台チリ観測所の廿日出文洋特任助教らによる研究グループは、ガンマ線バーストが発生した銀河の分子ガスから発生した電波を世界で初めて観測することに成功した。

 ガンマ線バーストは、宇宙で最も激しい爆発現象で、現在1日に1回の割合で観測されている。ガンマ線バースト直後の分子ガスから発生する電波を観測することは、数十億光年先の銀河で起きていることを調べる重要な手がかりだと考えられていたものの、これまで観測されたことはなかった。

 今回の研究では、アルマ望遠鏡という高性能な観測装置を用いることで、2002年と2005年に発生したガンマ線バーストGRB 020819BとGRB 051022の母銀河を観測し、分子ガスや塵が発する電波の検出に成功した。その結果、分子ガスは銀河の中心に多く分布しており塵はガンマ線バーストが発生した場所に多く存在していること、ガンマ線バーストが発生した場所では分子ガスに対する塵の量が通常よりも10倍以上多くなっていることが明らかとなった。

 研究チームの一員である東京大学の河野孝太郎教授は、「長い苦闘の末、高い感度を持つアルマ望遠鏡の登場によってついにこの壁を突破できたことに、とても興奮しています」と語っている。

 今回の観測結果は、科学雑誌「ネイチャー」の2014年6月12日号に「Two γ-ray bursts from dusty regions with little molecular gas」として、掲載された。

■解説動画:ガンマ線バーストの周辺環境の想像図 (CG映像)

■研究チームのリーダーである廿日出文洋・国立天文台チリ観測所特任助教のインタビュー映像

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