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全米&全英チャートで健闘中のアロー・ブラックが成し遂げた功績とは?
アロー・ブラックのアルバム『Lift Your Spirit』からリカットされたシングル曲「The Man」が、The Billboard Hot 100で最高位8位、リリース18週目現在で20位圏内に収まるといった健闘を見せている。ちなみに、同シングルはこの4月、UKチャートにおいても1位の快挙も成し遂げた。
アロー・ブラックの名を広く知らしめたのは、他でもなく昨年、ダンス・ミュージック・シーンに旋風を巻き起こしたスウェーデンのプロデューサー=アヴィーチーによるヒット曲「Wake Me Up」だろう。米西海岸を拠点に活動していたシンガー/ラッパーのアロー・ブラックによるソウルフルな歌声、そしてマイク・アインジガー(インキュバス)によるスパニッシュなギター・リフといった、オーガニックな音の素材を大胆にフィーチャーした「Wake Me Up」は、エレクトロ・ハウス/ダブステップ由来のEDMが全盛の時代に、新鮮な風を吹き込んでくれた。
以前からのファンにとって、「Wake Me Up」によるアロー・ブラックのブレイクは、なおのこと驚くべき事件だった。ピーナッツ・バター・ウルフに見初められ、LAアンダーグラウンド・ビート・シーンの牙城と呼ぶべきレーベル<ストーンズ・スロウ>から『Shine Through』(2006)、『Good Things』(2010)という良質なソロ・アルバムをリリースしてきたアロー・ブラックは、いわば<ストーンズ・スロウ>というインディペンデントで先鋭的なカラーをもったレーベルに、味わい深く親しみ易いソウル・ヴォーカルを持ち込んだ一人だったわけだ。2011年初頭にはビルボードライブ東京で初来日公演も行っている。
「Wake Me Up」のアコースティック・ヴァージョンで幕を開けるアロー・ブラックのメジャー・デビュー・アルバム『Lift Your Spirit』は、さすがに彼のディスコグラフィーの中では随一と言っていい華やかさとポップさで迫る作品。スムーズなディスコ・ファンクの「Love is the Answer」、ポジティヴかつドラマティックな表題曲「Lift Your Spirit」、挑発的でどこかコミカルなビート・ポップ「Can You Do This」と、その楽曲群のすべてにアロー・ブラックらしいヴォーカルの情感が織り込まれている。アルバム・チャートにおいてもThe Billboard 200で最高4位と、上々の活躍だ。
ヒップ・ホップ・グループであるエマノンのラッパーとしてキャリアをスタートさせ、名門インディー・レーベルで多彩な楽曲を歌いこなし、ダンス・ミュージック・シーンを席巻しつつメインストリームでのブレイクを果たした現在35歳。そのキャリアが育んだ歌声の説得力に、ぜひとも触れてみていただきたい。
Text:小池宏和
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※この記事はBillboard JAPANより提供を受けて配信しています。
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