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アクティブシニア市場を活性化する、一滴の目薬
第2次安倍内閣が推進する経済政策・アベノミクスにも、「健康長寿社会の実現」が成長戦略の一つに掲げられているが、高齢者市場は日本経済の今後を左右する最重要テーマの一つである。その上で、今、急速に注目度が高まっているキーワードの一つに「アクティブシニア」がある。
アクティブシニアとは、主に70歳前後の、全国700万人のいわゆる「団塊の世代」の人々を指す言葉だ。この世代はこれまでの高齢者のイメージと大きく異なり、活動的な人が多く、消費傾向にも大きな変化がみられるという。もともと高度成長期の消費を牽引してきた世代だから、趣味や流行にも敏感で、インターネットやデジタル家電などの文化も積極的に吸収しようとする。株取引や旅行などのメインの顧客となるのもこの世代だ。子育て世代や若者世代の消費が渋る中、5兆円規模といわれるアクティブシニアのニーズにいかに対応できるかが、今後あらゆる業界において、ビジネスの成否を大きく左右しそうだ。
そんなアクティブシニアを対象にした商品展開やプロジェクト展開を積極的に行っている業界の一つが、医薬品業界だ。例えば、味の素株式会社は2013年10月、社内の組織横断的な取組みとして「アクティブシニアプロジェクト」を発足した。同プロジェクトでは、まずはロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防に着目して、アミノ酸の活用などを軸に、健康寿命の延伸を目指す取組みを開始している。
また、もっと身近なところでは、ロート製薬株式会社がアクティブシニアをターゲットにした「ロートVアクティブ」を2014年4月から新発売している。同商品は、同社の看板商品でもあるV・ロート目薬の50周年を記念して企画されたもので、年齢や乾きによる眼疲労、目やにを伴う目のかすみに着目した目薬になっている。同社の調査によると、40歳以上の74パーセントが、加齢による目の変化を感じている事が分かっている。とくにスマホやタブレットなどのデジタル機器の使用頻度が急増している昨今、目のかすみはシニア世代の大きな関心事であるのは間違いないだろう。
いくらアクティブといっても、年齢とともに、身体がいうことをきかなくなってくるのは仕方がない。しかし、趣味や旅行、グルメなどを楽しもうにも、身体がいうことをきかなければ、その楽しみも半減し、せっかくの第二の人生は暗いものになってしまうだろう。何はさておき、身体が資本。逆に、身体の不安や不調が緩和されれば、もっともっと人生を謳歌することもできる。視界がクリアになっただけでも、気分は随分と違うものだ。これから超高齢化社会を迎える日本経済発展のカギを握っているのは、たった一滴の目薬かもしれない。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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