【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】悪材料織り込んで大勢はリバウンドの流れ継続、ただし重要イベント迎えて波乱含み

2014年3月30日 12:39

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(31日~4日)

  来週(3月31日~4月4日)の株式・為替相場は、大勢としてはリバウンドの流れ継続を想定する。ウクライナ情勢、中国の景気減速・理財商品デフォルト、日本の消費増税のマイナス影響など悪材料をかなり織り込んで、好材料に反応しやすい地合いとなってきたようだ。

  ただし4月1日の日銀3月短観、3日のECB(欧州中央銀行)理事会とドラギ総裁の記者会見、4日の米3月雇用統計、そして次週7日~8日の日銀金融政策決定会合と続く重要イベントを迎えて波乱の可能性もあるだろう。

  前週は、イエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の「ゼロ金利解除の時期は証券購入終了から半年後(15年春ごろ)」という発言で動揺した米国市場がどのように動くのかが焦点だった。そして債券市場では、短期金利が上昇したものの、長期金利は逆に低下してイールド曲線のフラット化が進んだ。

  外国為替市場でドル・円相場は、一時的に1ドル=101円台を付ける場面があったが、概ね1ドル=102円台前半で膠着感を強めた。株式市場では、ナスダック総合株価指数がやや弱い動きだったが、ダウ工業株30種平均株価やS&P500株価指数は概ね堅調であり、全体として落ち着いた動きとなった。

  日本の株式市場も落ち着きを取り戻して24日に大幅反発し、さらに実質新年度入りの27日午後には先物主導で動意付く形となった。この結果、週間騰落率で見ると日経平均株価は471円80銭(3.32%)上昇、TOPIXは40.55ポイント(3.54%)上昇となった。リバウンドの動きを強めた形だ。

  さらに週末28日の米国市場では、ドル・円相場が1ドル=102円台後半までドル高・円安方向に傾き、株式市場も堅調な動きだった。28日の米国市場の動きを受けて、週初31日の日本株も買い優勢のスタートとなりそうだ。期末のドレッシング期待や新年度入りに伴う需給改善に対する期待感も高まるだろう。悪材料をかなり織り込んで、好材料に反応しやすい地合いに変化しつつあるだけに、その後も大勢としてはリバウンドの流れが継続しそうだ。

  為替に関しては、3日のECB理事会で追加利下げに踏み切れば一時的に円高要因となるが、4日の米3月雇用統計に向けての期待感で株式市場が上昇すれば、ドル・円相場は1ドル=103円台までドル高・円安方向に傾く可能性があるだろう。

  ウクライナ情勢に関しては米ロの外交的駆け引きが続くが、最悪の事態に向かう可能性は小さいとして過度な警戒感は後退しているようだ。中国の景気減速・理財商品デフォルト(債務不履行)に対する懸念に関しては、1日の中国3月製造業PMI(国家統計局)や3日の中国3月非製造業PMI(国家統計局)などの結果次第では、先物の仕掛け的な動きで波乱要因となるが、中国の景気刺激策への期待感も高まっているだけに、影響は一時的だろう。

  国内要因では、消費増税の影響に対する警戒感をかなり織り込んだと考えられるが、消費増税による景気の落ち込みを緩和するためにも、次週7日~8日の日銀金融政策決定会合に向けて追加金融緩和に対する期待感が高まるのか、それとも追加金融緩和を督促する相場になるのかが焦点となりそうだ。

  東証マザーズ指数は2月安値を割り込んで軟調さが際立っていたが、前週後半から反発の動きを強めただけに、資金流入が継続して個人投資家のマインド改善を確認するかも焦点だろう。物色動向としては、3月期末配当権利取りの買いが終了しただけに、目先的には材料系銘柄の物色が強まる可能性があるだろう。また消費増税の影響を受けにくいセクターとして、引き続き公共投資関連、ゲーム関連、再生エネルギー関連、ロボット関連などが目先的には注目される。

  その他の注目スケジュールとしては、3月31日の日本2月鉱工業生産速報値、日本2月住宅着工戸数、ユーロ圏3月消費者物価指数速報値、米3月シカゴ地区購買部協会景気指数、4月1日の日本2月毎月勤労統計、中国3月製造業PMI改定値(HSBC)、豪中銀理事会、インド中銀金融政策決定会合、米3月自動車販売台数、米3月ISM製造業景気指数、2日の日本3月マネタリーベース、米2月製造業新規受注、米3月ADP雇用報告、ブラジル中銀金融政策決定会合、3日の中国3月サービス部門PMI(HSBC)、米2月貿易収支、米3月ISM非製造業景気指数などがあるだろう。

  その後は4月7日~8日の日銀金融政策決定会合、8日の日本3月景気ウォッチャー調査、インドネシア中銀金融政策決定会合、9日の米FOMC(連邦公開市場委員会)3月18日~19日開催分の議事要旨公表、9日~10日の英中銀金融政策委員会、10日の日本2月機械受注、中国3月貿易統計、11日の中国3月PPI・CPI、G20財務相・中央銀行総裁会議、16日の中国第1四半期GDP、29日~30日の米FOMC、30日の日銀金融政策決定会合・展望リポート、5月2日の米4月雇用統計、5月8日のECB理事会、20日~21日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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