【鈴木雅光の投信Now】MRFの純資産残高に注目!

2014年1月20日 16:38

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  MRFという投資信託をご存じだろうか。コールやCD、あるいは短期国債といった短期金融商品だけを組み入れて運用する公社債型投資信託で、預貯金に近い元本安全性を持っている。

  この純資産残高が、昨年12月末にかけて大幅に増加した。前月比1兆4132億6800万円増で総額は11兆1789億6200万円となった。

  12月だから年末要因とも考えられる。MRFは預貯金金利よりも有利で、かつ元本割れリスクも非常に低いので、なかには預貯金代わりとして、MRFにお金を置いておく人もいる。特に12月はボーナス時期ということもあるので、その資金をMRFに入れておこうという動きも、当然のことではあるが起こる。実際、MRFの設定額を月次で追っていくと、例年、12月は他の月に比べて多くなる傾向が見られる。

  ただ、多いといっても、12月の設定額は2~3兆円程度のものだ。それが昨年12月に限っていえば、設定額は6兆2867億8800万円にも達した。12月でこれに準じる設定額があったのは、2005年12月の7兆6813億6800万円と、2006年12月の5兆1602億7400万円くらいだ。

  今回、ここまで設定額が多く、結果的に純資産残高が11兆円に乗せたのは、年末要因だけでなく、昨年限定の特殊要因があったからだ。

  今年1月から証券優遇税制が無くなり、値上がり益などへの税率が、それまでの10%という軽減税率から、本則の20%に戻った。そのため、すでに利益が出ている株式や投資信託を保有している個人の中には、税率が10%のうちに売却して利益を確定させようという動きも広まっていた。結果、株式や投資信託の売却資金が、MRFに流れ込み、純資産残高の大幅増加につながったと見るのが妥当だろう。

  今後の注目点は、このままMRFの純資産残高が高水準を維持するのか、それとも減少するのか、ということだ。大幅に減少すれば、それはMRFから再びリスク資産に資金が還流している可能性が高いことを意味する。逆に高水準を維持していたら、リスク資産への資金シフトはまだ先という判断が成り立つ。

  この数字は投資信託協会のデータコーナーで簡単に取ることができるので、定期的にチェックしておくと良いだろう。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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