大企業と地域産業が生み出す、新しい地域活性事業のカタチ

2014年1月11日 11:07

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記事提供元:エコノミックニュース

 アベノミクスの影響がようやく現れはじめたのか、景気が次第に上向きになりつつある。地方でも、企業と自治体による官民連携が活発に動きはじめているように見えるが、実態はどうであろうか。

 三菱総合研究所<3636>が2012年に行った調査によると、地域の民間企業や大学、NPO、住民団体等との連携について、自治体の期待は全分野に及び、とくに「イベントの開催」「観光」「地域資源活用」などの分野への期待が高くなっている。また、自治体が連携を望む企業の業種としては、「商店街・産業振興」「農林水産・食」に対するものが比較的多い傾向がみられる。また、連携によって「企業が有する専門ノウハウ」が活かされることに期待する声が多い。

 そんな中、地方自治体が大手企業と提携し、販路を大きく広げる動きの実例として、今月16日にダイドードリンコ<2590>が発売した健康補助食品「ロコモプロ プロテオグリカン配合」が話題となっている。

 同商品は、ダイドードリンコが展開している「DyDoヘルスケア」シリーズの新商品。主な成分は「プロテオグリカン」。これは鮭の鼻部分の軟骨から摂れる、肌の保湿や関節炎に効果があるとされる糖たんぱく質だ。酢酸に漬けることで大量に抽出する技術を弘前大学が開発し、その技術を用いて製造したプロテオグリカンを、ダイドードリンコが協力工場に生産委託し、ロコプロモとして生産、販売を行っていく。

 ダイドードリンコにとっては同商品が初の地域連携開発商品であり、今後、通信販売で展開している健康食品事業の拡大を目指すとともに、今後は九州地区などでも同様の地域連携開発商品を模索していくという。

 今年9月に矢野経済研究所が発表した「健康食品受託製造市場に関する調査結果2013」によると、健康食品市場は前年度比102.2パーセントの1,392億円を予測されており、2009年度から5年度連続の拡大が見込まれている。この背景には、通信販売会社や新たに市場参入を果たした医薬品メーカー、食品メーカーなどの増加がある。

 2030年には日本の人口の約3分の1が65歳となってしまう高齢化社会の中、国民の間にも「自分の健康は自分で守る」という自己防衛的な健康意識が浸透してきていることからも、当該市場は今後も堅調に推移していくと見られている。

 前述のダイドードリンコなども、そのような将来的な状況を見越して健康食品事業の拡大に乗り出したと見られるが、さらに地域振興と重ね合わせることによって、相乗効果が期待できるのではないだろうか。地域の産業が大企業の生産ペースにどこまで対応できるのか、また、リスク分担や公平性の担保といった課題はあるものの、今後益々、わが国でクローズアップされていくであろう、地域活性化問題と健康食品市場における興味深いモデルケースとなるに違いない。(編集担当:石井絢子)

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